「消費」と「浪費」に詳しくなる
Text by

松浦 弥太郎

Yataro Matsuura

なさま、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

さて、今回は「消費」と「浪費」について、大切なことをお話しましょう。

「消費」と「浪費」の達人になれば、お金と自分の関係は、ぐっと良くなるのです。

まず「消費」です。わたしたちの暮らしにおいて、「消費」をしない日は一日もありません。「消費」とは、日々暮らして行くために必要な、衣食住に関わるお金の支出です。

「家計消費」ともいわれるその主たる内訳は、食費、光熱水道費、住居費、家具・家事用品費、被服費、保険・医療費、交通・通信費、教育費、娯楽費です。

みなさまはこれらの「家計消費」に、毎月どれだけの金額を「消費」しているのかを把握していますでしょうか? 

これまではレシートの管理で良かったのですが、最近はインターネットショッピングの利用が増えたことで、何にどのくらい使ったのかが、分かりにくくなっている傾向があるようです。

ぜひ一度、「消費」の金額を明らかにして、自己診断してみることをおすすめします。大切なのは、自分の「消費」に詳しくなることです。

もし今、家計が苦しいのであれば、収入に対して、この内訳のどれかが原因なのかもしれません。

次は「浪費」です。「浪費」とは、分かりやすくいうと、何かを楽しみたい気持ちで使ってしまうお金です。物欲に負けて、衝動的に買い物をしたり、後先考えずに遊んでしまうお金の使い方のことです。耳が痛い方が多いのではないでしょうか。

とはいうものの「浪費」が絶対に良くないこととはいえません。大切なのは、多かれ少なかれ、私たちは、日々「浪費」していることを知ることです。

今持っているスマートフォンがまだ使えるのに、新しいスマートフォンを買うのは無駄遣いにも感じられます 。しかし、そのスマートフォンで気持ちをリフレッシュし 、明日からいっそう元気に働けるなら、そんな「浪費」も良い使い方かもしれません。

欲しいものを買う、おいしいものを食べる、ストレス発散のために遊ぶ、というのは、 生きていくためにモチベーションを上げるひとつの方法です。ただし「浪費」は、たまに味わう希少なワインのようなもの。毎日希少なワインを味わうのは、あきらかにバランスを欠いており、体にも悪いに決まっています。

お金が友だちと考えた場合、そんな使い方をされたとしたら、お金はどう感じるのでしょう。たまにはいいけれど、毎日「浪費」されたら悲しい気持ちになるに違いありません。

なにより、「浪費」をしていることに気がつかない。それが一番良くないことです。

時には甘えたり、わがままをいったりできる関係は良いものですが、それがあたりまえのように図々しくふるまったら、親友にさえ嫌われてしまうでしょう。

そんな「消費」と「浪費」ですが、自分の収入に対して、どのくらいの割合だと良いのでしょうか?

「消費」と「浪費」を合わせて、収入の2/3に収めると良いですね。何があろうと、2/3以上にならないようにバランスを取る。それでは、収入の残りの1/3 はどうしたら良いのでしょうか? 

次回はその使い方をお話しましょう。

それではまた。

PROFILE

松浦 弥太郎/Yataro Matsuura
2006年から「暮しの手帖」編集長を9年間務め、2015年4月、クックパッド(株)に入社。同年7月に新メディア「くらしのきほん」を立ち上げ、編集長を務める。現在は(株)おいしい健康・共同CEOに就任。
「正直、親切、笑顔、今日もていねいに」を信条とし、暮らしや仕事における、たのしさや豊かさ、学びについての執筆や活動を続ける。著書多数。雑誌連載、ラジオ出演、講演会を行う。
中目黒のセレクトブックストア「COW BOOKS」代表でもある。