「貯金」はこんなふうに
Text by

松浦 弥太郎

Yataro Matsuura

なさま、こんにちは。

さて、貯金の目的を考えたことはありますでしょうか。わずかな金額でも、毎月コツコツと貯金をしていれば、「チリも積もれば山となる」というように、それなりの金額は貯まるものです。金額の大小は関係なく、暮らしに貯金は大切です。

貯金の目的は二つあります。一つはいざという時の備えです。病気や不慮の出来事で収入が途絶えてしまった時、貯金があればなんとかその場をしのぐことはできます。貯金がなければ、生活のために借金をせざるを得ないことになり、苦労が重なってしまいます。

もう一つは、住宅を買うとか、車を買うというような目標や夢をかなえるためです。高価な買い物は、ローンを組むことがほとんどですが、そのための頭金を貯めるというのも貯金の目的です。

そしてまた、現代社会では、いつ何が起きるか分かりません。あくまで理想ですが、現在の年収分くらいの貯金は備えておきたいものです。

とはいうものの、なかなかできないのが貯金です。どんなふうにすれば貯金はできるのでしょうか。難しく考えると、いやだいやだと思って、あきらめたくなるのでシンプルに考えます。

まずは、自分の現在の収入と、必要な支出を確かめることから始めましょう。そこから自分が毎月いくら貯金できるのかを知れば良いのです。収支の把握さえできれば、貯金は簡単です。収入から支出を差し引き、残った金額(年間貯金可能額)を貯金すれば良いのです。

紙を1枚用意してください。そこに毎月かかる金額を項目別に記入してみましょう。いわば簡単な決算書作りです。項目は「水道光熱」「食費・日用品」「住居」「維持費」「保険」「ローン」「教育費」「その他(旅行・冠婚葬祭・趣味)」で良いでしょう。毎月の支出と、年に数回の支出を分けて記入します。その上で年間の支出金額を計算します。

収入は、毎月の手取り金額を記入し、年間の収入金額を計算します。この時、ボーナスは計算に加えず、臨時収入として考え、貯金から外しておきます。もちろん、その一部を貯金にまわしても結構です。

何もトラブルなく過ごすことができれば、その金額をコツコツと貯金できるはずです。この方法が一番シンプルな貯金方法です。とはいえ、暮らしというのは、常にいろいろなことが起きますので、予定通りに貯金ができるとは限りません。できない時は無理に貯金をする必要はありません。

まずは、自分が年間にいくらの貯金が可能かを「知ること」が大切なのです。それが貯金の最初の一歩なのです。ぜひこの一歩を進めてください。

それではまた。

PROFILE

松浦 弥太郎/Yataro Matsuura
2006年から「暮しの手帖」編集長を9年間務め、2015年4月、クックパッド(株)に入社。同年7月に新メディア「くらしのきほん」を立ち上げ、編集長を務める。現在は(株)おいしい健康・共同CEOに就任。
「正直、親切、笑顔、今日もていねいに」を信条とし、暮らしや仕事における、たのしさや豊かさ、学びについての執筆や活動を続ける。著書多数。雑誌連載、ラジオ出演、講演会を行う。
中目黒のセレクトブックストア「COW BOOKS」代表でもある。