豊島さんに聞いてみた! 006 | 2018.11.29
“おひとりさま”こそ経験のための投資を
Text by

豊島逸夫×モリジュンヤ

Itsuo Toshima×Junya Mori

投資の専門家・豊島逸夫氏に、気鋭の若手編集者・モリジュンヤ氏が「投資の難しいこと」を伺っていく本連載。

第6回では、投資に積極的な姿勢を見せる人の属性に関するお話から、投資に向き合う姿勢を学んでいきます。

 

今、投資に敏感なのは”おひとりさま”

 

 

――投資を始めやすいタイミングや、投資に積極的な世代などの傾向はありますか?

今、投資に敏感なのは“おひとりさま”ですね。“おひとりさま”は、独居老人や独身のキャリアウーマン、シングルマザーなど、単身で生計を立てるライフスタイルを選択されている人々。こういう方々が投資に敏感に反応します。例えば、私が講演するセミナーにもおひとりさまの参加者が増えています。

――なぜ、“おひとりさま”の反応が敏感なのでしょうか?

以前、講演に来てくださった20代の女性の方は「会社と国、男も信用できない。最終的にはお金」と言っていました。おそらく、就職氷河期を経験した世代や、その後姿を見て育ち、ずっと不景気を経験していることも影響していると思います。

彼女たちは、社会を悲観的に見ており、自分の生活は自分で自衛しなければならない、自ら道を切り開かないといけないという意識を持っている。だから、資産運用への関心が強いのだと思います。

――なるほど。投資スタンスに特徴などはあるのでしょうか?

基本的には守りの投資ですね。悲観的な考えを前提にして、投資をしています。なので、下手にリスクをとり、儲けを狙って投資することはありません。一攫千金を狙った投資はせず、投資スタンスが健全なのですね。

バブル期を経験した人に多いのですが、儲けたくて投資をしている人たちに、「金(ゴールド)は儲けるものではない、守りの投資だ」と言っても伝わらないんです。

おひとりさまで投資をする人たちは、最初から「金(ゴールド)は自分たちを守ってくれるもの」だと分かっているので、そもそも守りの投資について伝える必要がありません。

 

 

 

勉強のみならず、経験のために投資を実践しよう

 

――“おひとりさま”で投資をする方々は、投資に向き合う姿勢がかなり違うんですね。

違いますね。私に寄せられる質問を聞いていると分かります。「いくら儲かりますか?」ではなく、「下がるとしたらどこまで下がりますか?」ということをみなさん気にされますね。「危機(クライシス)」という言葉に敏感に反応します。

ただ、悲観的な投資姿勢ではありますが、「自分たちには老後までの時間がある、だからじっくり勉強したい」という堅実な考えも併せ持つケースが多いんです。

――じっくり勉強しよう、という雰囲気なんですね。

みなさん、真面目ですよ。講演会場が進学塾のような空気になりますから。話を聞きながら、一生懸命メモをとっている。

――それだけ勉強していたら投資も上手くいきそうですが。

勉強が大切なのは間違いありません。ただ、やはり知識だけではダメですね。投資は実践しましょう。金(ゴールド)でもETFでも、少額から投資できる対象は数多くあります。そこに、自分の財布から投資をする。

――以前にもお伺いしたように、かけ湯的に始めるべきだと。

そうです。それで投資したお金が少額でも減ると悔しいんです。悔しいからもっと勉強する。損失が授業料になるんですよね。

金額的には減るかもしれませんが、それは掛け捨てにはなりません。ちゃんと身になっている。そういう「経験のための投資」をすることが大切です。

豊島さんの金言!
“実践の積み重ねが、知識につながる。「経験のための投資」をしよう”

Illustration : Damien Florebert Cuypers
Artist Management:Agent Hamyak

PROFILE

豊島逸夫
三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され、外国為替貴金属ディーラーとなる。チューリッヒ、ニューヨークの投資最前線でトレーダーの経験を積んだ後、金の国際機関ワールドゴールドカウンシルに入り、投資事業本部アジア・オセアニア地域担当本部長や日韓地域代表を歴任。金の第一人者となる。
2011年豊島逸夫事務所を設立。独立後は、活動範囲を拡大。自由な立場から、日経マネー、日経ヴェリタス、日経電子版などで、国際金融、マクロ経済評論などを行う。
オフィシャルサイト www.toshimajibu.org
モリジュンヤ(GOLD PRESS Contributing Editor)
2010年に『greenz.jp』編集部に参加。その後、『THE BRIDGE』『マチノコト』『soar』等メディアブランドの立ち上げに携わり、テクノロジー、ビジネス領域を中心に複数の媒体に寄稿。
「inquire」という編集エージェンシーの経営や、オンライン情報誌「UNLEASH」の編集長、ミレニアル世代向けビジネス誌『AMP』の共同編集長、ライティングを学び合うコミュニティ「sentence」のオーガナイザー、NPO法人soarの副代表理事などを歴任。