豊島逸夫の手帖

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金高、原油高、ユーロ高、円高のクワッド高

2004年11月24日

前回は原油から金、ユーロから円へのシフトについて書いたが、ここにきて、金高、原油高、ユーロ高、円高のクワッド高(四高)の様相となった。商品市場では原油が先行して上げ、金に出遅れ感が出て買われ、ここにきてまたまた原油が買われている。外為市場では、ユーロ高が先行し、円が追いかけ、ここにきてまたまたユーロが買われている。

要は、グローバルなマネーのフローを見ると、ドルから逃げ出した資金が新たな受け皿を求めて分散しているのだ。ブッシュ再選でやっぱり米国はやばいとドルに見切りをつけたマネーは、まずユーロに向った。でも、ユーロが如何に第二の国際基軸通貨を目指していても、膨大なドル資金の受け皿としては未だ不十分である。そこで、ホットマネーが次に向かった先が円である。

しかし、円も受け皿としての容量には限界がある。そこで、代替通貨として金にも資金が流入している。つまり、金は多通貨分散投資の一環として買われている。更に、ここにきて、ポンド、豪ドル、カナダドルなどにも波及してきた。原油高だって、脱ドルのホットマネーの仕業と言えなくも無い。

市場はドル売り金買いの口実を探している。グリーンスパンが0.25%の利上げを実行しても金市場は反応せず(下がらなかった)。ところが、グリーンスパン氏がドル安を示唆する発言をすると すわと外為市場はドル売り、金市場は買いの反応である。

さて、円建て金価格に目を転じると、ドル安がテーマである限りは円高で相殺され、上昇余地は限られる。しかし、そのテーマが陳腐化して、地政学的要因とか中国とかヘッジなどの要因に移ったときに上昇を再開しよう。これまで繰り返し述べてきたように金価格上昇トレンドの要因は多岐に亘り、日替わりメニューのように入れ替わり立ち代わり市場に異なる要因がインパクトを与えているのだ。

2004年