豊島逸夫の手帖

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買い場探し

2005年12月14日

540ドルを瞬間タッチでつけ、台風の目のつかの間の静けさの後で、売りの吹き戻しの嵐が始まった。本稿執筆時点(12月14日朝8時)516ドルまで急降下中。

ここ数回ほど、しつこいくらいに警報を発して脅かせたから本欄読者にはせめて怪我人が出ていないことを祈る。

ここからは本来の買い場探しが始まる。

下げを待っていた人達は多い。だから、それほど下がらないだろう。相場に魔法の杖は無い。買いのタイミングを問う投資家には、月並みに聞こえるかもしれないが、純金積立で買い始めることを勧める。まとめ買いを避け、徐々に"定量"ではなく、"定額"で買い始めることだ。キャッシュがうなっているという羨ましい人ならば、定額の金額を大口にすればよいこと。

そのうえで、円高などで価格が下がったら、スポット購入というシステムを利用して、臨時に買い増せばよい。あまり知られていないが、買い貯めた金は、タダで保管してくれるということ。いつでも現物で引き出せるわけだから。

なお、筆者に言わせれば、純金積立の最大の利点は、金を買いつつ、日々の相場からは距離を置き忘れることができること。理想は今、金を買って、冬眠状態に入り、5年後に目覚めることなのだが...。人間は実に欲望というものに弱いから、意識的に、その魔物をコントロールすることは大事なのだよ。

筆者だって、プロとか言って偉そうな顔してるけど、ディーラー稼業から足洗ったあとのほうが、安んじて見れるだけ相場も当るものね。昔を知る記者氏から、スイス銀行辞めたあとのほうが当ってるね、と言われたことがあるほど。

なお、最近は、本欄を読んでいる機関投資家とか年金関係の方々もいるようだが、考え方としては、やはり、ドルコスト平均法を勧める。よくあることだが、年金関係の勉強会などに招かれて講演したあと、理事さんがそっと来て、個人的に金買いたいのだが、と相談してくる。永田町や霞ヶ関に近い人ほど老後のインフレヘッジのために金を買いたがるという現象も怖いけどね。

2005年