豊島逸夫の手帖

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相次ぐ欧米投資銀行の金価格予測上方修正

2006年2月1日

本欄で今が今年の金価格を占う上で正念場と書いて1週間経ったが、相撲で言えば、560ドル台でがっぷり四つに組んだまま、じりじりと買い方優勢、売り方は土俵際に押し込まれた感じである。そして遂に一昨日、今年の高値を抜いて570ドル台に乗せたことで、にわかに価格予測上方修正が始まった。

筆者の古巣のUBSは、昨日、2006年の年間平均価格予測を520ドルから560ドルへ引き上げ、2007年についても、従来の500ドルから600ドルへ大幅修正と発表した。これは、1月中旬に行ったプロたちのアンケート調査に基づくデータの平均値に基づくとの注釈付きだ。特に、530-540ドル近辺では、相当の現物需要が確認されることが有力な判断材料となったようだ。ただし、多くの実需家は、もう一段の下げを期待していただけに、実際には殆ど買えていないとも述べている。調整が入っても底は浅いことが確認されれば、あとはどこまで上に行けるか試すしかないだろう、ということだ。

足元の価格は前日と変わらず、569ドル(本稿執筆時点2月1日朝9時時点スポット)。FF金利0.25%引き上げは、完璧に織り込み済み。更に云えば、バーナンキの初登場FOMC(3月)でもう一声0.25%(4.75%)も織り込み済み。もし、ここで(4.5%の水準で)利上げ打ち止めとなれば、市場には意外性を持って迎えられよう。つまり、金価格上昇には弾みがつく結果となるところだ。(以上は仮定のハナシだよ。)

ここにきて、日本の買いが国際金市場でも再びクローズアップされてきた。海外金高+円安の展開になると、モメンタム買い(価格上昇の波に乗ろうとする、勢いで買ってくる投資家のタイプ)が勢いづくようだ。バリュー買い(バーゲンハンターとも言われ、押し目買いをじっくり狙うタイプ)は模様眺めに徹しているが、世界中の投資家が下がったら買うと思っているときには、相場は下がらないものだ、と今更のように痛感する。今月の調整局面も結局は540ドルを、それも瞬間タッチで示現しただけに終わった。こうなると、550ドルが相対的に安く見えてくるのだ。

2006年