豊島逸夫の手帖

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利上げをWBCに喩えれば・・・

2006年3月22日

WBCモードから抜けきれないアタマで改めてマーケットを見れば、米国の利上げサイクルは8回裏。あと1-2回残すのみ。なかには延長戦を唱える向きもあるが少数派だ。

それに対し、日本は未だ試合開始前の国歌斉唱の段階である。観衆(=マーケット)はいよいよだと盛り上がっている。

そして、欧州は、既に3回表くらいまで進行しているが、ここは、5回でゲームセット(コールド)の可能性もある。依然2桁の失業率、ストライキに見られる構造改革の遅れなどで、利上げするにも自ずと限度がある。

そこで、世界の注目はWBC同様、ジャパンとなる。

欧米市場筋も、円という低金利通貨を借りて金を買い上げる所謂"円キャリートレード"の巻き戻しをしきりに気にする。とはいえ、未だ、試合開始まで時間ありそうだから、(ホットマネーが)もう一仕事できるぜ、ほかに当面行くアテもないことだし、との見方もある。

そうこうしているうちに、NY先物買い残高もピーク時に比し4割ほどの水準まで減少してきた。ということは買いのエネルギーが徐々に蓄積している。銀の連れ高現象も無視できない。

という状況で金価格は下がりきれない。

相場が上放たれるには走り高跳びと同じ理屈で助走が必要だ。520-530ドルまで下がれば充分な助走が取れる。それが540ドル程度では大した高さは期待できない。570ドルのバーをクリアするには力不足だ。

こういう膠着状態を脱却するサプライズは何か?夕べも講演が報じられたバーナンキさんの意表をつく一言とか、イラン核施設に対するピンポイント爆撃とか、米住宅バブル或いはGM関連の経済ショックなど想像力を逞しくすれば色々なシナリオが考えられる。

足元ではアタマの重い地合いだが、マーケットは上げの口実を求めている。 最後に先週末の北京でのセミナー風景が早速下記のネットに載ったので紹介したい。
http://www.gold.org.cn/ztbd/pxb3/hx04.htm (現在公開されていません)

筆者の研修は、出席された方はご存知だが、聴衆のなかに入っての双方向対話を重んじる。この写真は北京での対話風景である。ご覧のように実になごやかな雰囲気であった。別に若い女性ばかり指名していたわけではないので誤解なきよう(笑)。

2006年