豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 当惑気味の欧米市場
Page129

当惑気味の欧米市場

2006年4月3日

週末にかけて世界各地の市場関係者とメール交換したが、ほぼ全員、虚を突かれ戸惑い気味(perplexedと言う言葉が代表的)である。三極同時利上げモードに入ったところで金利を産まない金が25年ぶりの高値というのが納得できない、とか、いずれ上げるとは思ったがタイミングが予想より遥かに早い、等々。アジア、中東にしても、WGC各地の事務所に聞いてみたが、いずれも現物売戻しラッシュである。例外なく、どこも需給はジャブジャブ状態。

それでは、皆に、じゃあ下がるだろうかと聞けば、一斉にNOの合唱である。高値警戒感が薄い。

さすがに先週金曜日のNY市場では利益確定の売りがまとめて入った。本稿執筆時点(4月3日朝7時)、スポット583ドルまで下落。でも、市場の視線は600ドルを見ている。前回にまとめて述べたが、買う理由には困らない。

さて、今週の動きの注目点は、金曜日発表の3月米雇用統計。早いものでもう一ヶ月という感じだが、振れの大きい経済統計の代表格ゆえ、格好の材料になりそう。良い数字であれば、経済好調=インフレ懸念という読みの勢いが、経済好調=利上げ継続という解釈を上回りそう。どっちの解釈を取るかは、ひとえにマーケットのモメンタム(勢い)なのだ。

なお、先週、イランがスイス銀行に預託していた金250トンを引き出し、という報道がスイス紙に出たが、イラン当局は否定している。資産凍結を恐れるイランとしては、いかにもありそうなハナシではあるが。同紙は、イランが昨年10月から計700トンの金を引き出したとも書いている。直接相場に影響を与えるストーリーではないが、中東マネーの本国回帰のなかで、中東株は暴落し、行き場を失った資金の動きとともに、今後も注目されよう。

2006年