豊島逸夫の手帖

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スポットでも600ドル大台乗せ

2006年4月11日

4月11日、極東時間早朝6時3分に現物スポット価格も600.05-600.55をつけ、これにより、先物、現物両市場で600ドル大台突破を記録した。最後の一押しは、イランであった。昨日本欄で紹介したワシントンポスト紙とニューヨーカー誌の"米政府、イラン空爆検討"との報道である。週末に出た記事だが、月曜日の欧米市場に時間差攻撃で効いた。報道そのものは、当然のことながら当局は否定。それでも否定の仕方にやや不明瞭な点ありとかで、噂は噂を呼ぶ。この種の観測記事は当局が否定してもマーケットは疑心暗鬼になるもの。

市場の材料のバランスとしては、利上げという売り要因と、インフレ懸念という買い要因が拮抗する中で、地政学的要因が買いの相対的比重を高めた結果となった。

足元の買いの主役はNY先物。大口投機家の買い残高(ネット)も一時300トンを割り込んだが、直ぐに再上昇。先週末には前週比36.1トン増の411.2トンとなった。それでもピーク時の500トン台までは未だ買い余力がありそう。

東京の先物も、為替に持ち合い後の円安見通しが台頭するなかで、買い意欲が強まっているようだ。

一方、現物市場はアジア、中東とも、引き続き売り戻しラッシュ。需給は完璧にだぶついている。唯一、NYのETFに継続的買いが見られるが。

総じて、先物買い、現物売りのパターンを維持したままの600ドル突破である。現物(実需筋)もこうなると少しでも下がったところに買いを入れるしかない状況。先週金曜日の雇用統計発表後の押し目がすかさず買われたところを見ると、引き続き、短期的乱高下を繰り返しつつ、下値は切り上がる展開が続きそうだ。買いの口実は、日替わりメニューの如く次から次へと出てくる。

なお、今週は金曜日から欧米市場イースター休暇入りだ。その前に12日、GFMS社によるゴールドサーベイ最新版の発表あり。最新需給統計が明らかになる。

2006年