豊島逸夫の手帖

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670ドル台へ急反落

2006年5月16日

24時間で35ドルの下げである。本稿執筆時点5月16日朝8時でスポット679ドル。新規材料は無い。

前回、"今の上げがホンモノという確信はあるが、短期的にはオーバーシュートの最中。オーバーシュートの中にいるとその渦中という感覚は掴みにくいもの"というようなことを書いたが、そのオーバーシュートが萎んだ。調整売りであり、長期トレンドには変わりない。

昨晩から、NY発の経済チャンネル見ていると、弱気派が、それ見たことかとあちこちから出現している。今までどこに隠れていたのと言いたくなるが。(まぁ、出たくても出させてもらえなかったのかもしれないね...)

メタル全体が急落しているから、コモディティーのmeltdown(壊滅)かcorrection(調整)かとの議論が戦わされている。バーナンキと利上げに関しても、金は金利を生まないから売り材料との本来の教科書的解釈が戻りつつある。

ドル、金利と金の関係についての最近のマーケットの捉え方は、明らかに一貫性を欠くので注意が必要だ。要は、まず買いか売りかの方向性が事前的に決まり、そのシナリオに合うように後講釈されるからだ。(ドルにしても、ドル安になれば喜んで買いの材料として囃されるが、ドル高に転じれば、ドルと金の関係は薄れたとなる。)そこに、前回も述べたが、筆者が先週からアナリスト的コメントを控えている理由がある。

今回の高値は730ドルまで行った。相場の感覚では、この大相場が730ドルなどという中途半端な数字で終わるはずもない。まずは高止まり。調整を経て再度新高値への挑戦が始まろう。700ドルの大台割れとかいう報道もあったが、700ドル突破したのは僅か6日前のことだ。

ただ、気になるのは、ETF残高が445トンとこの1週間で4トン減少し始めたこと。さすがの年金買いも未だ700ドルまでは付き合えないということか。利益確定売りが先行しているようだ。中東インドなどの実需も どうみても700ドルまでは付いてきていない。

徐々にマーケットが冷静さを取り戻しつつある過程といえようか。

2006年