豊島逸夫の手帖

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インフレ懸念、利上げ継続、株&金売り

2006年6月7日

640ドル台まで一時は買い上げられたが 調整モードの中では続かず。本稿執筆時点(6月7日朝8時)スポット630ドルである。

バーナンキさんがインフレに強い懸念を示し、利上げ継続を示唆したことが、株(安)、ドル(高)、そして金にも大きなインパクトを与えている。

金に関しては、"インフレ懸念による利上げ継続"という報道に対しては、利上げ=売り要因が、インフレ懸念=買い要因より優るとの解釈で金は売られた。金利差要因に発するドル買いも金売り材料とされている。

1ヶ月前とは様変わりだ。

あの時は、利上げよりインフレ懸念が優るとの解釈が先行し、ドル買いの局面では、金とドルの逆相関は崩れたと一蹴されたものだ。

この違いは何か。市場のセンチメントの変化。買いモードから調整売りモードへの移行に尽きる。

市場の読みは、この調整は"健全"な現象。一本調子で上げ続ける相場なんて不健全だし、あり得ない、という見解が大半である。

シティーグループも長期的には2007年の金価格予測を580ドルから700ドルへ上方修正。2008年についても580ドルから750ドルへ変更している。

興味深いのは、その根拠として、米国内の政治不安定化(米国民の政治思想の多様化、細分化)とか、南アの資源国有化などを挙げていること。"双子の赤字"の根深さ、資源ナショナリズムの高まりは構造的要因と言えるね。

金ETF残高は漸増基調続き451トン。ヘッジファンド売り、年金買いの構図も変わらず。あとはインド、中東がいつ本格的買い出動するかが焦点である。

2006年