豊島逸夫の手帖

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アーア 負けちゃった...

2006年6月13日

やっぱり日本人は相場に向いていないな、と改めて感じたワールドカップ緒戦だった。

計算されたチームプレーが売りなのだが、意表をつく攻めに会い、同点にされたところで勝ちに行くか守るかの瞬間的判断に迷い更にスキを突かれる。虎の子の1点を守りきれず、最後にドドドと持ってゆかれるのも賭場ではよくあるパターンだ。こんなことで国際市場の中、百戦錬磨のプレーヤー相手に勝てるはずもない。そのわりに事前の期待感だけは世界一である。前日に相手国のプレーヤーがリラックス ゴルフしている現場まで記者団がどっと押し寄せ、相手の監督に"Would you please leave us alone today?"(今日ぐらいはほっといてよ)と皮肉たっぷりに言われるようでは、あの時点で趨勢が見えた感じだった。

情報収集、勉強だけは引けをとらないが、実戦になるとからきし弱い。まぁ、そういう筆者だって、当初はチューリヒやNYの現場でいきなりポジション持たされ、相場張れと言われたときにはどきまぎしたものね。あとはon the job trainingの連続。日本人流にじっくり考える習慣を捨て、今日は今日、明日は明日の出たとこ勝負の世界に慣れるのに数年かかった。

それゆえ、昨日のスポーツニュースの中では、藍ちゃんのメジャー3位のほうに遥かに共感を覚えるのだ。ダボ叩いても、最終ホールでバーディー決めて3位に食い込む勝負強さをサムライニッポン軍団は見習うべきだね。彼女はディーラーにしたらピカイチの人材だと思うよ。

サムライ軍団と藍ちゃんのスタンスの比較は、管理された環境のなかチームプレーで相場に臨む(ひ弱な)機関投資家と、自己責任で孤軍プレーせざるを得ない個人投資家の違いともダブる。

株安、商品安という弱気(ベアー)が支配する厳しい市場環境のなかでいかに立ち回るか。喩えれば、森の中で突然熊(ベアー)に遭遇したとしよう。熊にクンクンされながらも冷静に死んだふりできるか。そこでパニくって、逃げ出すようでは結局熊の餌食になるだけだ。

2006年