豊島逸夫の手帖

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テロ未遂に売りの反応

2006年8月11日

欧米メディアはロンドンでの航空機テロ未遂事件に関する報道一色。ちょうど夏休みの旅行シーズン真っ只中でもあり、ショックは大きい。犯行集団はパキスタン系と聞いて、やっぱりという感じ。本欄7月12日付け原稿"インド爆破テロで急騰"でこう書いた。

それより、次の地政学的リスクをかかえる国として、筆者が注意しているところがインドの隣国パキスタンである。ビンラディンが同国内に潜伏していることはほぼ間違いなさそうだし、テロの訓練基地にもなっている。核技術拡散の元凶でもある。それに対してムシャラフ大統領の対応が、何とかするからというリップサービスばかりと欧米の不満も徐々に鬱積してきた。はっきり言って、一触即発と理解している。北朝鮮、インドの次はパキスタンをマークすべし。

さて、そのニュースに対して、金市場は売りの反応である。前日比16ドル近い急落となった。原油市場が売りの反応を見せたことに引きずられた感が強い。原油の下げは、海外旅行自粛の動き=航空機原油需要減退との観測による。たしかに、911直後にそんなこともあったっけ。

金市場に関しては、素直にマーケットが短期的売りモードに傾いていると解すべきだろう。650ドルは未だ固まっていないと見るべき。事実、実需がついてきていない。3Aの試合でついた650ドルなので、実質を伴っていない。
アジア、中東などの伝統的現物市場における需給はジャブジャブである。需要は夏枯れ。600ドル前後まで下がらないと出てこない。

秋口にかけての再上昇の足元を固める意味で、いま少し、現水準での揉み合いが必要だろう。

2006年