豊島逸夫の手帖

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ラムズフェルドメモの衝撃

2006年12月4日

昨晩から日本は宮崎県知事辞任がニュースだが、米国メディアは辞任したラムズフェルド国防長官の極秘メモ(NYタイムズすっぱ抜きで一面トップ記事)が専らの話題。辞任2日前に"イラク作戦は失敗。戦力大幅削減などの、本格的調整が必要。"という内容。

日本の日曜朝の討論番組みたいなMeet the pressなどの定番討論番組では、イラクが"内戦か否か"で大議論。NBCは正式に内戦と呼ぶことにしたとのこと。

イラク分割論を以前も紹介したが、益々議論の対象になっている。クルド人は、独自の国旗、軍隊をかかえ、独立国家の体裁を整えたと公言してはばからない。異民族という"汚れをきれいに消すまで戦う"ことから、民族クレンジングethnic cleansingと云われる。

結局のところ、原油利権の分捕り合戦なのだよ。クルドとシーアは油田を持ち、スンニは持たない。今後、原油高再燃の増幅要因としても要注意だ。

さて、12月相場入り。今週は雇用統計などメジャーな経済指標発表目白押し。大晦日まであと27日。というか、未だ27日もある。いまのマーケットで27日は長ーい。このままでは終わりそうにない。金価格は二進一退を続け、徐々に下値切り上げ。

ドルは対ユーロで遂に1.33まで下落。いま、米国市場で語られるインフレ懸念も、ドル安=輸入物価上昇というシナリオになってきた。

金ETFはこの数日で536トンから546トンへ、そして今日は552トン。ドルの代替通貨として、ドルから分散してきたマネーの流入が加速しつつあることが明白だ。ボディーブローのようにマーケットに効いている。

2006年