豊島逸夫の手帖

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円安プレミアム

2007年1月25日

金価格がどさくさに紛れて上がってきたね。海外では原油反騰に敏感に反応している。原油安には鈍感なのに。国内では円安も同時進行で昨年の高値に迫る勢い。この円安プレミアムは"おまけ"みたいな上乗せだ。

貴金属店の店頭は投資家の売り戻しラッシュ。長期上昇トレンドを考慮すればなにも今売ることもあるまいとも思うが、当座のお小遣いが欲しいのなら、それもありかと思う。筆者は、常々基礎コースで金と為替の関連について、"円高で買い、円安で売り"と説いてきたことでもあるし。短期の相場観も、年初600ドルすれすれまで落ち込んだ時には"この安値はお年玉"と述べてきた立場なので、こう早々と650ドル接近の声を聞くと、"ちょっと早いな"とも思う。

さて、昨日のNY市場の話題は、もっぱらブッシュの年頭教書演説。これ、アベさんの施政方針演説とはちとワケが違う。米国内ではNHK紅白なみの視聴率なのだ。スポーツバーでもこの時ばかりはモニター画面に映るブッシュを肴にビールだ。その映像には、ブッシュの背後でしきりにまばたきを繰り返すマダムスピーカー、民主党ペロシ上院議長の姿。背後霊みたいに一段高いところから共和党ブッシュを見下ろす角度が、今の政界の力関係を象徴するようだ。(オザワがアベを見下ろすみたいなイメージだから格好の話題になるのだろう。)

例年、ブッシュの一言一言に議員の過半数がスタンディングオベーションを繰り返し、見ているほうは苛々したものだが、今年は議席の過半数が座ったままという光景も目立った。そんな話題ばかりで、肝心のスピーチの内容には全く新鮮味なし。コメンテーターも次期大統領候補ヒラリー、オバマ、マッケインたちの反応のほうに、もっぱら興味があるようだ。

マーケットに関する限りは、ブッシュよりバーナンキのほうが、遥かに影響力がある。そのバーナンキも早や就任一年目を迎える。未だマーケットの信認を得たとは言いにくいので、当分彼の一言一言でヘッジファンドも立ったり座ったりを繰り返すのだろう。

2007年