豊島逸夫の手帖

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円安、ドル安、勝ち組はユーロと金

2007年4月16日

先週末のNY金価格は680ドル台突破。週末のG7では(ドルも安いので)円安にもお咎めなし。外為相場は現状追認ということで円安、(対ユーロの)ドル安の同時進行。NY金価格はドル安に反応して上げ。こうなると海外金高、円安の同時進行で国内金価格上昇が加速するパターンである。

今年はこのような展開が多い。円先安感強い中で円キャリーが急増し、調達した円で商品が買われるという図式である。グローバルには最も弱い通貨が円で、次に弱い通貨がドルということなので、勝ち組はユーロと金ということになる。

初心者の方からは、そんなにユーロ経済は好調なのかと聞かれるが、外為相場というのは相対評価である。ドルと円が沈めば、相対的にユーロが浮上するということだ。その浮沈のきっかけは日米欧の金利差である。ECB(欧州中央銀行)総裁が利上げに含みを持たせるコメントすればユーロ金利に先高感が強まり、ユーロ高に拍車が掛かる。

さて、海外金価格だが、相変わらずさしたる材料はない。ドル安傾向がボディーブローのようにジワッと効いている。このように材料が特定できない相場というのは、材料織りこみ済みという陳腐化もないので、しぶとく続く。前回も述べたが、10ドル刻みでレンジの下値を切り上げ、世界連鎖株安前の水準に戻した。連鎖株安直前は"急騰"により680ドル到達。今回は足場を固めながらの680ドル到達。同じ680ドルでも地合いは異なる。

連鎖株安直前のNY先物金買い残は402トン(ちなみにドルユーロは1.31)。今回は同351トン。ドルユーロ1.35。これが地合いの違いである。新年度に入り、2007年第2ラウンド=春の部が始まった。

2007年