豊島逸夫の手帖

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FOMCサプライズ無し

2008年6月26日

昨晩のFOMC声明文に意外性は無かった。インフレ上振れリスクをやや強調しつつも、利上げの示唆などは一切なし。インフレファイターとしてのFRBにとって、"利上げ"は伝家の宝刀だが、景気への影響を考えれば、それは諸刃の剣でもある。おいそれとは抜けぬ。抜くぞ、真剣勝負だぞ、エイ、ヤァと掛声だけは勇ましいが、本心、抜く気は無い。ほどほどにインフレファイターとして名に恥じぬ言動を取るが、結局は事態の趨勢を見極めるまでアクションは起こさぬ。かくして、マーケットにも、さしたる変動はなかった。

さて、相変わらず、東証金ETFに関する質問多し。投資家にとって一番わかりにくいのが価格表示であろう。NY証取に上場されている現物拠出型金ETFをそのまま持ち込み東証で重複上場するので、NYでの取引単位=1/10オンスがそのまま使われ、しかも東証では円表示されるからだ。1/10オンス単位の円建て金価格というのは馴染みにくいね。ただ、上場日には日本語のこの商品専用ウエブサイトが出来るから、そこに参考価格として、リアルタイムでザラバ金価格が、1オンス当たりドル建て、1グラム当たり円建て、そして1オンス当たり円建ての3種類表示される。

証券会社の店頭では金価格に慣れていないから、販売体制が出来るまで時間はかかりそう。手数料収入も薄いから、販売側の優先順位も低いようだ。証券会社の説明、営業に頼らず、自分で勉強して投資する人たちが、まずは入ってきそうだ。所謂DIY(do-it-yourself)の投資家だね。米国では普通だが、日本ではまだまだ少数派というのが実態かな。

今朝の日経朝刊にも、アクティブ運用からパッシブ運用への流れが記事になっていた。"指数型投信じわり、純資産 アクティブ型に迫る 手数料の安さ評価"。記事の見出しが全てを語っている。10年間、毎年2-3%の信託報酬を払い続け、結局、運用の実績では日経平均に及ばずというのでは、こうなるのは当たり前か。

2008年