豊島逸夫の手帖

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為替より金のほうが難しい...

2009年2月25日

筆者は基本的にブログを個人投資家の目線で書いているつもりなのだが、実際の読者には意外に外資系金融機関の人たちも多い。まぁ、お陰様というか、筆者の書くものに一日2万人以上がアクセスしてくださるので、読者層も多様化していると言えば、それまでだが。

そのガイシケイの読者の一人に為替の専門家がおられる。その彼が、昨晩"参った!"とメールを送ってきた。

彼は、他の外為専門家同様90円割れのとき、目先80-85円を唱えてきた円高論者である。一方の筆者は、その当時"外為市場のほぼ全員が80円を向いているのが気に入らない"と書いて、円高ピークアウト説を唱えた。そして、ご記憶のことと思うが、2月16日に"ジャパン -12.7%の衝撃"で"これでも円買うか"と書き、2月19日には、彼が"ポジション調整"とコメントしたのに対し、"1000ドル接近"で"潮目変化の兆し"と述べた。そのような経緯があって、昨晩のメールが来たのだ。

そこで実は筆者が内心思ったこと。"これで、そろそろ今回の円安も先が見えたかな..."

どうもディーラー上がりというのは、性格的に徹底的なへそ曲がりに出来ているらしい。(これが家庭内では様々な葛藤を生むのだが...笑)。Once a dealer, always a dealer.ひとたびトレーダーの道に足を突っ込んだら、一生抜けられないよ、とは、よく言われることなのだよ。

ちなみに、アナリストはtwo handsを持つが、ディーラーone hand しか持たない という英語の言い回しもある。アナリストはOn one hand but on the other hand.こうとも言えるし、ああとも言える。でもディーラーは買いか売りか二つに一つの選択しかない。ああでもない、こうでもない、では商売にならぬ。

なお、告白しますが、為替より金の読みのほうが難しいです、ハイ。その金については、下記の記事が筆者コメントを簡潔に纏めてくれています。これは今週月曜取材記事。
http://www.nsjournal.jp/column/detail.php?id=142334&dt=2009-02-24 (現在公開されていません)

まぁ、今回の1000ドルは、金融危機のアヤがもたらした"おまけ"みたいな現象で、本当の上げは年後半に来ると感じております、ハイ。ちなみに、昨日は20年来の友、澤上さんと雑誌対談の機会があったのだが、彼も、未曽有の規模の財政、金融資金投入の後遺症(=マネタリーインフレ)について熱く語っていた。こっちが言おうと思っていたことを先に言われてしまったのだが、結局、長い目で見ている人の視界は同じだな、と感じた次第。

2009年