豊島逸夫の手帖

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リーマンショックから1年 - ネット上でプレゼンテーション

2009年9月15日

739a.gif金融危機に端を発する世界同時不況脱出のために各国は未曾有の景気刺激策を実施。
問題は、その超大型財政支出のステロイド効果が切れたとき、のりピー型依存症から自律的に脱却できるのか、ということです。


739b.gif米国の企業業績は改善傾向が見られますが、リストラやコストカットの効果に依存しているので肝心の雇用は増えず、牽引役の個人消費も低迷が続きます。


739c.gifリーマンショックから1年の現在、景気も株価も変形W字型の真ん中の山を越えつつある過程です。NY株もここまで期待感だけで反騰しましたが、その証しが見えず、息切れの様相。


739d.gif結局、景気も株価も膨張していたリーマンショック前の水準には戻りません。最悪期は脱したが、悪化の進行が鈍化の域を出ず。経済全体のパイは大きくならず、縮小均衡と云えます。


739e.gifさらに、金融安定化のためにFRBは巨額のマネーを市中に供給しました。問題は、この有事対応から、どのように平時に戻すかということです。出口戦略が市場の課題になりつつあります。


739f.gifこの大量の通貨供給の過程で、FRBは巨額の米国債やサブプライム関連債券を買い取りました。民間のリスクを公的部門が引き取ったのです。FRBが自らヘッジファンドになったようなものでしょう。


739g.gifマーケットのテーマは金融危機から財政危機へ移りつつあります。未曾有の財政出動のため大量発行された米国債を中国が買わなければ、結局FRBが買い取らざるを得ません。ここに通貨増発によるドル価値の希薄化が懸念されます。


739h.gif投資家心理は、恐慌を恐れるような恐怖心理からは解放されましたが、心の傷は消えず、金融システムや基軸通貨ドルへの不安が根強く残ります。


739i.gif投資トレンドも激変しています。レバレッジをかけると売買益も売買損も数十倍に膨れ上がることを思い知らされたからです。米国の家計部門でも、レバレッジで膨張した債務の返済が遅々として進みません。


739j.gif投資方法を見ても、複雑な仕組み債などが敬遠され、分かりやすいベーシックな手法に回帰しています。リターン最大化よりリスク最小化が特に意識されます。


739k.gif短期の売買益を追わず、コツコツ買い増し、じっくり長期に保有することが改めて見直されているのです。株でも投信でも金でも、ドルコスト平均法が、地味でエキサイティングではないけれど注目されるようになりました。

なお、ここで使ったスライドは、日経CNBCが今週金曜日OAの金関連番組用に制作したものです。↓
http://www.nikkei-cnbc.co.jp/program/special/0909_goldnow.html (現在公開されていません)

2009年