豊島逸夫の手帖

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米国の資金繰りは自転車操業

2010年2月22日

米国の国債発行残高は8兆ドルに達し、さらに4兆ドルが今年半ばにかけて新規発行される。その絶対額の大きさもさることながら、問題は、その償還期限である。最近の新発債は短期国債が多く、満期の平均は50カ月にまで縮まっている。ということは、米国は、長期計画の公共工事や医療改革にかかる費用を短期の借金で賄わねばならない。今や、米国に長くカネを貸してくれるような篤志家の御仁は少なくなっているのだ。

唯一の「篤志家」中国政府の米国債保有も昨年12月に342億ドル減って 7554億ドルに。この減少が、マーケットでは、中国のドル離れ現象と指摘されている。その結果、日本が米国債保有第1位に浮上(7688億ドル)というオマケも。とはいってもねぇ、バンクーバー冬季オリンピックでの1位と違って、素直に歓迎できる順位ではないよね。

さて、昨日発売の日経マネーには、森下千里さんと住友商事金融事業本部トレーディングルームを訪問するという5ページに亘る記事が載っています。さらに、筆者の連載コラム「from ゴールド to ワールド」では、プロたちが いかに重装備で相場に立ち向かっているか、それに対して、お茶の間のパソコン一丁で個人投資家が戦い向かうことの「無謀さ」、と同時に個人投資家でもプロに勝てる、という話を書きました。両方を読み比べて考えてみて下さい。

2010年