豊島逸夫の手帖

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ゴールドサーベイ2010 拾い読み

2010年4月16日

中国最大(そして今や世界最大)の銀行、中国工商銀行(ICBC)とWGCの間で戦略的協定が北京のICBC本店にて署名締結されたのが、つい2週間ほど前のこと。

その具体的協力の第一弾が、同行貴金属部の訪日視察団受け入れ。VISA発給の「招聘人」となった。中国最大の銀行の幹部なんだから身元保証もなにもないだろうに、規則は規則、VISA申請に当たって、書式不備とかで突っ返され、事務局の女性は行ったり来たりの大忙しだった。

とにもかくにも、予定より3日遅れで来日。駆け足で日本市場視察。その詳細は、ツイッターで呟き中継しているから、そっち見てね。

さて、GFMS恒例のゴールドサーベイ2010がロンドンにて発表。中国軍団の熱い質問攻勢にあてられっぱなしで、ふと気がつけば、サーベイが届いていた。早速、眠い目をこすりつつ、拾い読み。ふむふむ、興味深い数字が並ぶ。

◆2007年―2009年の需給(単位:トン)

2007年 2008年 2009年
 新産金 2,473  2,409  2,572 
 公的売却 484  232  41 
 リサイクル 982  1,316  1,674 
 ヘッジ買い戻し 444  352  254 
 宝飾需要 2,417  2,193  1,759 
 欧米投資需要 169  330  1,429 

―新産金が、高値に誘われ増えてきた。
―公的売却は激減。リサイクルは史上最高に急増。
―宝飾需要は減少に歯止めかからず。代わって投資需要の伸びが目覚ましい。
―長期的に見て、真の生産コストは、925-950ドル(急上昇)
―ヘッジ残高は、236トンへ急減。(ピークには3000トンあった)

◆金生産国トップ5(単位:トン)
1.中国  324
2.豪   222
3.南ア  219
4.米   219
5.露   205
中国が一位に躍り出たと思ったら、今や独走体勢。二位以下の集団に100トンの差をつける。南アは一位の座を明け渡したら、三位にまで転落。

◆価格見通し
―短期レンジの下値を1000ドルから1050ドルに切り上げ。
―しかし今後数か月で1150ドル以上は無理。
―それ以上の中期では史上最高値更新予測。
―しかし長期には世界経済正常化に向かえば投資需要減少し、宝飾需要が活性化する需給均衡水準まで下落。

以上

見通しについては、筆者はポールに異論あり。別途反論。今朝は時間ない。

2010年