豊島逸夫の手帖

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表層雪崩

2010年5月20日

金価格は1200ドル割れ。プラチナは80ドル近い暴落で一挙に1500ドル台に突入した後、1600ドルの大台は回復して戻ってきた。

ここまでは想定内の調整。これからが正念場だ。筆者のスタンスは、これまで警戒モードであったが、ここからは徐々に強気モードに転換。底は浅い。1100ドル台になれば、アジア中東の現物買いも復活するだろう。ペーパーの投機買いの「ドカ雪」は、表層雪崩でかなり除去される。ふわふわの新雪(投機買い)と根雪(現物買いに支えられた底堅い部分)の境界線は1150ドル前後。でも、相場はそこまで下がらないような感じだ。下がれば待っている人達が多い。

長期上昇トレンドが崩れたとは全く思わない。逆に、健全な調整が入ることで、weak long(弱い買い持ち)が振り落とされ地合いは固まってゆくだろう。

マクロ経済的には、引き続き欧州財政危機、そしてユーロ不安だが、欧米経済にデフレの兆しが見え隠れし始めたことが、商品全体としては やや気掛かりではある。欧州の緊縮政策、米国も消費者物価上昇がかなり鎮静化の様相。家計部門の累積債務が残る以上、肝心の個人消費も力強さを欠く。もしデフレ基調がぶり返すと、原油、プラチナは、投機売りの波に晒されることになる。

プラチナは、やはり、流動性の絶対的限界が値動きの荒さとなって出てきた。先物買いポジションが、かなり上でしこってくるので、新規買いが入っても上値が重くなる展開だ。

外為市場ではユーロが結局は買い戻された。やはり過去最高水準に積み上がったユーロ先物売りポジションの手仕舞いが入りやすい。ただし、ユーロが反騰したところで、新規売りを誘うような欧州関連の材料にも事欠かないが。

メルケルの空売り規制は、逆効果になったね。投機マネーを追いだすつもりが、健全な投資マネーまで流動性が薄くなることを嫌い、出て行ってしまった。昨晩の欧州株は総崩れ。しかしNY市場になると、米国人からは米国経済と欧州経済のディカプリング(非連動説)が頻繁に聞かれる。それみろ、私達の米ドルに対抗しようなどと、ユーロを旗揚げしたが、結果はこのザマだ。いざとなればマネーもこっちに戻って来るではないか。といいたげな米国市場だ。

2010年