豊島逸夫の手帖

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中国からの人民元レポート パート2

2010年6月22日

昨日は、結局、人民元の対ドルレートが6.8272から6.7971と、0.42%切り上がった。中国側は、0.42%の上げ幅を、2005年以来とぶちあげる。中国人民銀行は、「弾力化」を実行してみせた、と。

国内の輸出業者は、とりあえず安堵したが、ただでさえ賃上げによるコスト増に悩んでいるので、心境は複雑だ。対して、米国側では、その程度で切り上げと胸張られても困る、という反応。それでも、画期的な第一歩とマーケットは評価。株価上昇。

まさに、昨日書いた、crawling peg=芋虫が這うような切り上げ方である。結局、こんな状態が、これから1-2年続くのではなかろうか。その結果として、2年後には20%切り上がっていたとしても不思議はない。ただし、その間に巨額の熱銭が流入するだろうけどね。バブルは困るけど、急激な人民元高も許容しがたい。複雑な人民銀行の胸の内。

以下は、中国のメガバンクの今回の人民元改革に関するコメント。

中国央行19日发表公告,央行决定进一步推进人民币汇率形成机制改革,增强人民币汇率弹性。但并未公布具体措施。所以方向还未定,

漢字でなんとなく意味が分る。央行(中国人民銀行)は人民元改革の第一歩として弾力化に踏み切ったが、その具体的措置は未発表。ゆえに方向性は定まらず。てなとこかな。要は、中国のメガバンクでも読み切れないということだね。

金価格は、昨日、1260台を突破して。

目標直接指向1300一線。其中1280可能仅是一个短期調整小阻力点。而中期目標可看至1350附近。

と、それゆけどんどんの勢いだったが、NYでの利益確定売りに押され、1230ドル台まで急落。日経プラスワンセミナー大阪に来た方々には、第一部で話したことであるが、膨れ上がった先物買いポジションが売り手仕舞いされる過程である。買われ売られて相場水準は徐々に切り上がってゆく。健全な調整だ。

さて、今回の上海。なぜか街中がいつもより整っている。交通渋滞もさほど無い。と、上海のスタッフに話したら、「万博が終わるまではね」と、ニヤニヤして言う。市がカネを払って、目ざわりなもの(家屋も含む)は撤去し、交通はナンバープレートで規制掛けているとか言っていた。

それを聞いていた北京のスタッフが、「でも、水の汚染はコントロールできでないね」と切り込んできた。「だいたい川下の上海の水はうっかり飲めないし、レストランでも注意せねば」と言う。

上海側も黙っていない。「あんたに言われたくないよ。北京オリンピックのときには、同じような事やってたじゃない。」

とにかく、北京と上海は対抗意識強くて仲が悪いね。そういえば、スイスでも、チューリッヒとジュネーブは仲が悪かった。チューリッヒがドルを売れば、ジュネーブは意地でもドル買ったりしたものだ。

2010年