豊島逸夫の手帖

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デフレかインフレか

2010年8月16日

欧米のマーケットではデフレ懸念とインフレ懸念が同時進行中だ。FRBの金融政策スタンスは明確にデフレ対応に転換した。しかし、ドルの過剰投入による長期的なインフレ懸念も根強く残る。金の世界でも、デフレ=破たんリスクに対するヘッジで金を買う人達と、インフレヘッジとして金を買う人達が共存している。

逡巡しつつも、高止まりする金価格は、 
短期=ディスインフレ、場合によってはデフレ突入
長期=インフレ
を示唆しているようだ。
株安、債券高、金高のシナリオでもある。

目下のマーケットの関心は米国経済に集中しているが、欧州の経済不安も消えたわけではない。ストレステスト後に欧州銀行株が値上がりしたので足元で安心感が広がっている。不良債権による損失は前年比で減少し、新興国部門の収益が貢献している。

しかし、根源的に欧州の銀行の多くが資金調達を預金者ではなく民間のマネーマーケットに依存する体質は変わっていない。その不安定な構図を国の公的資金投入とか中央銀行の資金供給が支えている。要は依然 点滴で凌いでいる状況に変わりはないのだ。点滴で好転した病状だが、点滴外して即退院には程遠い。

頼みの綱の中国経済にも減速懸念が点滅し始めた。この点は、今日からまた中国出張なので、現地からレポートしたい。

今日は京都五山送り火の日。筆者は8年連続で大文字見物が恒例になっていたが、今年は出張で潰れてしまって残念至極。一年前からホテル予約してあったのに。

いっそのこと週末は早めに北京入りして、酷暑の日本から離れようかとも思ったが、北京も36度と聞いて、結局週末は福島の高原で過ごした。すでに夜は窓開けていると寒く、秋の虫が鳴き、昼はトンボが舞う世界であった。帰京すれば、東京は夜でもセミの合唱。新幹線東京駅に降り立った途端に、がーんと暑さの一撃を喰らったようだったね。

それでは行ってきます。

2010年