豊島逸夫の手帖

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1300ドル通過

2010年9月29日

昨晩は深夜まで仕事に追われ、一段落して相場モニター見て、びっくり。たしか1280ドルまで押して売り込まれていたはずが、なんと1309ドルをつけている。底は浅いとブログには書いていたものの、ここまで浅いとは思わず。調整とは名ばかりの短時間の調整であった。

きっかけは米国消費者信頼感指数が48.5と予想外に急落したこと。平行して欧州ではアイルランド、スペインの格下げ予測報道が流れて、CDSスプレッドが再び拡大したこと。要は昨日書いた状況(米国も欧州も悪材料)がさらに進行したわけだ。

ドルは対ユーロ1.35、対円で83円台にまで急落。
QE2=量的緩和第二弾が早い時期に導入されるとのレポートやらWSJ報道も重なり、QE2を見込んだ株、債券の買いも入った。

内部的には今回の1300ドル突破劇に、まともな買いは見られない。事前に1300ドルを超えられない失望感からショート(空売り)が増えていた矢先なので、まず、そのショートカバーが集中した。プロも完全に逆を突かれている。オプションカバーも拍車を掛けた。そして、これは噂の段階であるが、アングロゴールドのヘッジ売り買戻しの最後の買いが入ったか。いずれにしても新規買いは見られない。

おまけに、LBMAコンファレンスからは参加者のアンケート調査で2011年9月までに平均1450ドルを見込むとの外電報道も流れた。ただし、これは業者の集まりなので、ポジショントークや希望的観測が含まれ、割り引いて考える必要あり。

今後、1300ドルを超えた海図なき航海となるが、ここまでくると新たなヘッジ売りも出やすく、リサイクルの売りも加速しよう。対して、それを上回る株式債券市場から金市場への資金流入が続いているわけである。コモディティー要因とマネー要因とせめぎ合いとなりそう。

2010年