豊島逸夫の手帖

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中国からゴールドレポート

2010年10月14日

こちらに来ていきなり話題になったことは、金価格でもなく、尖閣諸島でもなく、「円高」。ひとことでいって、「それみたことか」。マーケットの実勢に任せると、とんでもない自国通貨高になり、輸出産業が壊滅的になる。中国は同じ轍は踏まない。人民元切り上げは「西洋医療」ではなく「漢方」の緩やかな処方で対応する。人民元の大幅上昇許容など、まだ先の先の話である。

そして、金。1300ドルになっても中国の買いが引っ込んでいないことに驚き。マーケットがこれだけ過熱してくると、モメンタム(市場の勢い)にドンドン乗って買ってくるのが中国人投資家気質である。さすがに飛ぶように売れているわけではないが、買いが続いている。それも地金が売れている。

毎度のことながら、(インフレ懸念の)中国に来ると金に強気になるが、(デフレの)日本に戻ると売り戻しやらリサイクル売りばかりで金に弱気になる。対照的なマーケットの風景。ま、ここは客観的に見て、中国に分があることを認めざるを得ない。

現地で拾った数字。
上海黄金交易所2010年の取引量 (9月28日まで)4554トン、現引きが591トンもある。
中国の金生産量1-8月で 217.95トン(↑8.85%)

なお ベトナムでも金自動販売機が導入されたとのこと。
アジアは、この高値でも、現地渡しがディスカウントにはならずプレミアムである。(新著の「金はバブルか」の章で述べたプレミアムディスカウントのこと。)

さーて、金はついに1370ドルを突破。1400の大台が視野に入ってくると、コールオプションを売った連中の心中穏やかならず。買いの主体はオプションカバーである。

金も銀もプラチナも、そして株も、同時上昇の「QE2」(金融緩和第二弾)相場が加速。東京発ではGFMSのポールが1400ドルとぶち上げたようだが、こちらでは高盛集団 黄金価格予測、三カ月1400美元、六カ月1525美元、十二カ月1650美元。ちなみに、高盛集団とはゴールドマンサックスのこと。

筆者は、市場参加者ほぼ全員が強気に傾いているのが気に入らない。

最後に、食べる方はここまでいまいち恵まれず。昨晩夕食はbanker's club=銀行家倶楽部だったが、良かったのは52階からの景色だけ。今日の大手銀行主催のランチに期待。
相変わらず慌ただしく、今夜帰国の予定。

2010年