豊島逸夫の手帖

Page966 現場発中国レポート3

2010年12月2日

上海万博は中国のビクトリー・ランであった。自由主義経済各国が金融危機で脱落する中で、「計画経済の優位性が実証された」ことを世界に誇示する勝者の競技場一周だったのだ。

いったい中国はこの壮大なイベントに幾らつぎ込んだのか。いまもって政府は正確な数字を把握できていないそうである。いちおう5兆円相当ということになっているが、民間の推定では9兆円近くに達するとの数字も流れている。

その投資効果として、地下鉄は増設、空港、駅もリニューアルされた。大通りの多くは数回にわたり再舗装工事が施され、大きなビルはオーナーに通告もなく、いきなり再塗装された。

エクスポ期間中は禁止されていた地上工事の類がこれから一斉に再開されることになろう。クリーンになったと見えた上海の街並も、ほどなく元に戻る。地方から見物に来た人たちは「つば吐くな」「割込みするな」「公共の場で煙草吸うな」等々の「指導」を経験することになった。

しかし今回もエレベーターの中で煙草吸うお兄さんも見かけたし、交差点でタクシー拾うのも先を争って奪い合いになるので(それも歩道から車道の中にまで平気で出てゆき真ん中のレーンでタクシーのドア開けて乗り込む)命がけである。やっとのことで空車を捕まえたかと思いきや、上品そうな中国人レディーが脇からスーッと入って先に乗りこまれてしまった。その絶妙なタイミングには感心するばかり。(~_~;)

心底肝を冷やしたのは、立体交差にタクシー運転手が間違えて入ってしまったとき、平気でバックし始めたのだ!!!

筆者も、こういう環境で仕事していると、徐々に日本人的感覚が「異質」なものに見えてくるから困ったもの。帰国して家庭内に戻り普通に振舞っているつもりでも、「お行儀悪い」と叱咤されることしばしばである(笑)。

さて、昨晩のマーケットは、中国引き締めも欧州財政危機も忘れたかのような株、商品、総上げ。明日発表の米雇用統計改善を先取りした買いともみえる。ここまではしゃがれると数字が予想に反した場合の反動のほうを考えてしまう。

昨晩売られたのは米国債くらい。10年債の利回りは再び3%に接近中。まぁ、折角のバーナンキさん主催のドル大盤振る舞いパーティーゆえ、とりあえず参加して振舞い酒のおこぼれに与るのもよいが、パーティー会場の奥にまで入り込むと「出口戦略」が大変になるからね。バーナンキさんが、いきなり壇上に立って、「宴たけなわではありますが、このへんで中締めということで...」と宣言した途端、賓客たちが一斉に出口に殺到することもあるから。会場出口近くで、ちびりちびりやっているのが良いでしょう。

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