豊島逸夫の手帖

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バーナンキ医師団 ステロイド注入継続を決定

2011年1月27日

熟睡していたが、早朝4時8分に、目覚まし無しで、目が覚めた。FOMC声明発表7分前である。バイオリズムがマーケットに同調しているらしい(笑)。

寝床でセブンイレブンの草大福と濃い茶で血糖値を上げて、続々出てくる声明文を追う。いきなり目についた言葉が、no dissent , unanimous =反対者無し、全員一致。反射的に寝床でツイッタ―に書いた。

QE2継続に異議を唱えていたFOMCメンバーが複数いたのに。むむ、メディアがFOMC内でのdissenting opinions =反対意見をかまびすしく報道するので、バーナンキ教授が根回ししたかな。

あとは、現状の米国経済の論文みたいなもの。

Progress on economy is disappointingly slow.=経済の進捗度は失望させるほど遅い。
この表現などは、景気回復を囃す投機筋と真っ向対立する一文だ。

Employers still reluctant to add to payrolls.=雇用者は新規雇用にまだ消極的。
こう言われると、これから発表の雇用統計がたまたま好転しても、それの持続性をFRBは否定していることになる。

さらにたたみかけるように、
Level of unemployment restraining private consumption.=雇用低水準が個人消費を抑制。
商品価格上昇の影響についても今回初めて言及されたが、長期インフレは落ち着いているという見解に変わりなし。

筆者がセミナーで必ずFOMCの見方のポイントとして挙げる、for an extended period. = ゼロ金利長期継続の「長期」にあたる表現は今回も維持された。これが消えたときが、利上げ示唆と受け止められ、一大事になる。

今回のFOMCに関しては、米経済好転モードの中で、QE2が縮小されるかもというところが注目点であったが、縮小せず。それも全員一致の決定。少なくても表面上は。

ということで貴金属価格は、QE2縮小にベットして売り込んできた投機筋が一挙にショートカバー。時間外取引で、1345ドルまで上げてきた。これでNY発の売り攻勢も一巡しそう。

QE2に関しては、前回ステロイド投入に例えたが、ロス在住の医師のフォロアーさんから以下のツイートあり。
「QE2はステロイド投与ですか。なるほどです。しかし、持続投与には副作用(インフレ)があります。また末期患者には生涯投与するものです。米国経済はまさにICU患者ですな。末期がん患者などで、元気がない人にステロイド投与すると元気が出て食欲も増すのですが、長続きしません。欧米はpoor prognosisですね。」

メディカルドクターのコメントは説得力あるね。元気がない人に投与すると元気が出るけど、長続きしないなど、今の株式市場そのものじゃない。

さて、話題はガラッと変わるが、中東地域でチュニジアからエジプトに政情不安が拡大したことは要注意だね。民主化の流れが穏健派かつリーダー的存在のエジプトについに飛び火してきたか、という印象。

まだ女性の権利さえ、満足に確立されていないイスラム諸国で、それなりに民主国家となっているのがトルコ、マレーシア、インドネシアくらいのものでしょう。それがチュニジアを契機としてエジプトに波及すると中東全体に大きな影響を与えると見られてきたので、来るべきものが来たということなのだ。2011年の新たな火種。

最後に、今日の日経朝刊5面「団塊と債務 二つの臨界点」という記事。筆者が日経ビジネス1月3日号「新金融立国日本 復活への八賢八策」の中で、「3年後の臨界点に備えよ」と書いたことで、共感する。

2011年