豊島逸夫の手帖

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円高の津波

2011年3月17日

今朝80円を割れたら、一挙に76円台に進行した円高。NY引け後、極東オープン前の取引が最も薄い時間帯でつけた円の新高値。筆者の目には、この円買いは津波の引き波に見える。引き波が強ければ強いほど、後の津波の高さは高くなる。

欧米の大手投資銀行在日幹部が競って日本から脱出するために香港のプライベートジェット機を使っているときに、彼らが(彼らの顧客が)本気で円を持ち続けるだろうか。

今の円買いの主体は、雨宿りマネーである。引っ越しマネーではない。本体は、日本に引っ越しするどころか、立ち退こうとしているのだが、マネーだけは日本に残して、身は母国へ戻ろうとしている。マネーに関しては、次の草鞋を脱ぐ適当な宿も見当たらない。

こんな現象が長く続くはずもない。今朝の76円がこれからの円の歴史的最高値として残るかもしれないと感じている。

さて、金市場では、リスク回避の売りと質への逃避買いが交錯中。売りと買いが1380-1400ドルのレンジで拮抗している。

海外金安と円高の同時進行。円建て金価格には値ごろ感を感じる。

そして福島原発危機。筆者の福島の拠点が、原発から80キロ圏内。悲しい。自衛隊、警視庁の決死の作業には頭が下がる。

なお、昨日の本欄でツイッター薦めたら、この24時間でフォロアーがドッと増えました。フォローする人、一人とか二人の初心者ばかり。操作ミスと思われる空メールも御愛嬌でしょう。ツイッターはあまり体裁を気にせず、気楽に呟くものですから、片肘張らずに やってみてくださいね。

それから今週発売の週刊ダイヤモンド55-56ページに、「有事の金の裏側。史上最高値更新の背景にあった知られざる米中戦争の勝者」というインタビュー記事が載ってます。

2011年