豊島逸夫の手帖

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GS 原油、銅、プラチナ売り推奨

2011年4月12日

昨晩の欧米市場はGS=ゴールドマンサックスが顧客に商品関連の一部に売り推奨を出したことで、原油、銅、プラチナが売られ、連れて金銀も下がった。

「CCCPバスケット」というトレードだ。バスケットの構成比率は、WTI原油40%、銅20%、エネルギーのウエイトが高いGSCIコモディティーインデックス20%など。

「昨年12月から25%も上昇したので(長期的にまだ上げ余地はあるものの)、そろそろリスクのほうも考えるべき時としている。
ブレント原油は127ドルまで急騰したが、それと同じくらいの勢いで急落の可能性もある。超高値による米国での需要破壊や市場に蓄積された異常な量の投機買いポジションがマーケットには重くのしかかる。」

個別に見ても、銅は23%、プラチナ36%も上昇したので、水戸黄門に例えれば、人暴れした後の決まり文句「助さん格さん、もういいでしょう」という感じだね。

銅は中国が世界需要の40%を占める典型的な産業用素材だ。銅市場は中国の銅備蓄在庫の増減に極めて敏感。今年2月につけた史上最高値10,190ドルに至る過程で、中国銅備蓄は過去半年で倍増の70万トンに達したと言われる。これは投機マネーにより実需以上の銅が買われ価格が急騰したが、反面、現物在庫は増加したことを示唆する。大量の銅が買われ中国国内に流入したが、それが実需として使われず、そのまま在庫として残っているという構図だ。中国の(金融)引き締め策が銅需要にじんわり効いているのかもしれない。

次にドル円。

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(資料提供:シティーバンク シニア為替アナリスト 尾河眞樹嬢。チーム・ジェフの為替担当です 笑)

シカゴ通貨先物市場では投機的円売りポジションが突出してきた。ここから、どの程度、円買い戻しが起こるか。先日、円安論者なれど、ここでまだ円安トレンドへ転換とは言えないとしたのは、これがあるから。

銀は昨晩42ドル近くまで急騰した後40ドル割れまで売り込まれたり。いやはや。It takes a brave investor to buy silver now=今シルバー買うのは勇気いる、とはUBSのコメント。

ちなみに、UBSは金の一か月予測を1450ドルから1500ドルに引き上げたが、3か月予測は1400ドル。これは6月末のQE2(量的金融緩和)終了を織り込む。しかし、その後は再上昇。QE2縮小から引き締め転換までは時間がかかるという見立て。これはまさに復興支援セミナーで私が語ったシナリオと同じだね。

2011年