豊島逸夫の手帖

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金価格1800ドル再接近

2011年11月8日

荒っぽい値固めを繰り返しつつ、とうとう1800ドル寸前まで上がってきた。リスク回避で売られたり、買われたり、その度に、相場の水準が切り上がってきた。目先は、イタリア国債の利回りに金価格が敏感に反応している。
ギリシャ問題は、既に材料としては陳腐化してきたが、イタリアへの伝染となると未だ鮮度がある。イタリア債務問題も根が深いから、来年にかけて紆余曲折があろう。いずれ陳腐化する時期も来るだろう。しかし、少なくとも年内は材料視されそう。
NY先物買い越し残高の推移を見ても、未だ新規買いが入る余地がある。但し、新興国のバーゲンハンターたちは、1500ドル台から買い上げてきているから、1800ドルに近づくととりあえず様子見に転じる。ここからは、先物主導の展開が予想される。
ドル円は介入の影響が残り、78円前後に張り付いたまま。従って、ドル建て金価格上昇が、そのまま円建て価格にも反映される地合いだ。
さて、今後の動きだが、リスク回避で売られる局面も想定すると、一本調子で上げ続ける可能性は低い。
なお、今週は中国の物価上昇率発表もあるので、新興国市場にも目配りが必要だ。インフレが進行すれば、1800ドルでも買い進む可能性があるが、物価鎮静化となれば中国人投資家のインフレヘッジの買いも一段落するシナリオも考えられるからだ。
マクロ経済的には、世界的な利下げ傾向(米国、EU,中国、オーストラリアなど)が、金利を生まない金には追い風となっている。

2011年