豊島逸夫の手帖

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ギリシャ・スペインが再びマーケットの波乱要因に

2012年9月24日

ギリシャは、やはり、救済条件の「条件闘争」を続けている。平たくいえば、「ごねている」感じ。刻々、景況は悪化し、失業は増え、経済のマイナス成長が加速している。財政赤字削減目標達成など到底おぼつかなく、目標達成期限をどこまで延長するかという条件を巡り、救済側との議論が交わされている。トロイカ(EU,ECB,IMF)の査察団も、引き続きアテネに留まり、ギリシャの「借金の帳簿」調べに余念がない。はっきり言って、ギリシャにカネをつぎ込んでも、ザルのようなもの。きりがない。

スペインも、今週は格付け会社ムーディーズにより、同国国債が「投機的」な水準まで格下げされる可能性がある。そうなれば、スペイン国債利回りが再び急騰するだろう。そこで、ラホイ首相も遂に「屈辱的」救済申請に踏み切らざるを得まい。早いところ、白旗あげればいいのに、とも思う。しかし、スペイン国内では、これ以上の緊縮受け入れ拒否を意思表示するデモが波状攻撃の如く繰り返されている。

マーケットは、欧州発のリスクオフの売りに晒されやすい環境にある。米国のQE∞の材料も陳腐化してきた。

金以外の商品は売られている。金も商品市場の売りの雪崩に巻き込まれている。他の商品よりはシッカリしているが、1800ドルの壁は厚い。

ただ、QEの震源地、米国では、メディアやアナリストの論調も、金について長期強気論が多い。

ピムコのビル・グロス(債券王と呼ばれる)、ヘッジファンドの最大手レイ・ダリオなど著名な投資家を始め、一般メディアでも日本に比し、金が投資対象としてまともに議論される場面が遥かに多い。

やはり、米ドルの価値下落を直接的に感じているからであろう。

2012年