豊島逸夫の手帖

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若者は『和僑』を目指せ

2013年3月29日

日米中韓4か国の高校生を対象に行った調査で、将来の仕事で「起業したい」と考える日本の高校生は4か国中最低の6%、という記事が27日の日経朝刊に載っていた。憂慮すべき数字だ。トップは中国で31%。次いで米国の19%、そして韓国が12%となっているので、日本はダントツに低い。
しかも、希望する仕事のトップが、中国は起業家、米国は医師、韓国は建築家やデザイナー、そして日本は公務員。「安定志向」ともいえるが、要は、リスク回避の巣篭り心理の表れだ。
そもそも「安定的キャリア」など、これからの世界では望むべくもない。フェイスブックのNo.2 シェリル・サンドバーグ女史が新著に書いていることだが、キャリアは「はしご」ではなく「ジャングルジム」の時代だ。
そこで、アベノミクスの成長戦略の中で、ベンチャー企業への新たなファイナンスの道が色々検討されているようだが、同時に起業家精神育成のための教育も重要だろう。
「丸暗記」型の受験教育から、ディベート(議論)を通じて創造力を養うような教育だ。日本人は、受験問題を解くテクニックにはたけているが、「自分で受験問題を作ってみろ」というとうろたえる。
しかし、イノベーションに必要なことは、設計図どおりに作ることではない。
英語教育にしても、英会話スクールでTOEFLの得点を追うことだけではなく、実践的な英語が必要だ。筆者の実体験でも、学生時代に付き合った米国人のガールフレンドと毎日英語で喧嘩したことが、後日、仕事の場で米国人中国人とやり合うときに、どれほど役に立ったことか。「喧嘩英語」はディベートを通じて身につくものだ。

アラサー女性との対談で、子供をインターナショナル・スクールの、それも敢えてインド系のスクールへ入れたママの話を聞いて、なるほどと思った。インド人と対等にやり合うことが出来れば、世界中どこでも戦える逞しいビジネスマンが育つ。
少子高齢化で移民も拒む国では、内需拡大を目指しても、限界がある。日本人の起業家たちが海外に散り、日本企業との有機的な協調活動を通じて、成長国の需要を取り込む努力が欠かせない。
「華僑」「印僑」にならい、「和僑」を養成することも「成長戦略」として望まれる。

さて、マーケットは、これから海外がイースター休暇に入るので、静かになります。私も夜、まともに寝れそうです(笑)。
今日の日経朝刊2面に、「マネー解凍、ゴールドラッシュの町」という記事が出ています。リスクマネーが動き始めたようですね。

2013年