豊島逸夫の手帖

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米政府機関閉鎖決定後、金だけ急落

2013年10月2日

米国政府機関一時閉鎖後、唯一大きく動いた市場が金だ。
ニューヨーク時間に入ってから、40ドル以上急落して、1280ドル台まで下落した。
米金融政策も財政問題も読めず、4日発表予定の雇用統計も延期となると、ファンドも暗中模索の中で、買いポジションはとりあえず手仕舞うという動きである。
短期弱気、長期強気のスタンスは不変。
中国が大型連休なので、いつもの下支えは期待できず。1100ドル台までの一時的下げもありうるが、長期的に1200ドル台が底値圏という見方には変わりなし。毎月コツコツ買っているが、もう一段下げたらスポットでも買い始めたい。

今年5月と9月の二回にわたってウオール街で会った機関投資家たちも、「10.1アベ・スピーチ」には並々ならぬ関心を寄せてきた。
蓋を開けてみれば、具体性に欠ける、との落胆の声も目立つが、10月1日にはアベノミクスに関する限り追い風が吹いたこともたしかだ。
それが、米政府機関一部閉鎖決定。
この問題は、大統領の求心力が低下し、議会はねじれ状態が続く米国の「決められない」実態を浮き彫りにした。更に、本丸の債務上限引き上げ問題も「決められない」まま、危険な瀬戸際政策の綱渡りが危惧される。

対して、同日に安倍首相が、米国でも政治的鬼門とされる「増税」を敢えて決断したことは、相対的に日本の「安定性」を印象づけた。
ニューヨーク発のメールからは、日本株に関して、プロ・コン(賛否両論)併記なれど、欧米・新興国株式に比べれば、ポジティブなシナリオが描ける、という本音が伝わってくる。
運用の世界は、相対評価が支配する。
「少子高齢化の国なれど、3年のタームで見れば、日本株のほうがベター」とのコメントが象徴的であった。
特に、リアル・マネーといわれる欧米年金基金内部では日本株に関する稟議書(プロポーザル)が「内部的共感を得やすい」市場環境だ。

ヘッジファンドも、新興国から逃げ出して、米国株に「里帰り」したが、財政問題で「実家が火事になった」ので、新たな運用先を模索中だ。決定打はないので運用も多様化している。
この原稿を執筆している間にも、日本時間朝9時の日本株寄り付きをフォローするために、米国東部時間夜8時まで相場モニター場画面を見続けるニューヨークの市場関係者からのメールが舞い込んだ。
一時はジャパン・パッシング(素通り)と揶揄されたものだが、今や、アベノミクスという和製英語がすっかり定着した感がある。
なお、外為市場では、「安定通貨」としての円が買われやすい環境になったので、これは要注意である。

さて、私の事務所は勝どきエリアにあるのだけど、オリンピックで急速に盛り上がってきた。環状二号線も開通とか、32階から見る風景の中にもオリンピック競技場予定地が並ぶ。
今朝、広告みたら、このエリアに、更に53階のマンション新築だって。供給過剰のような気もするけど、オリンピック特需でも期待しているのかな。。
なお、この勝どきエリアは、コモディティー関係の組織が集約している。隣のビルには日本エネルギー研究所(通称エネ研)という原油・エネルギー調査機関があり、近所にはコモディティー・トレーディングを得意とする住友商事の本社(トリトン・スクエア)もある。勝どきをコモディティーの街に、という声も出るほど。
事務所開設して3年目に入るけど、長居しそうな予感。スイーツ系の店が少ないのが難だけどね~最近は、六本木ミッド・タウンより、三越前エリアの新設商業施設群が、お気に入り。新築ビル内の店は気持ちいい。三越新館地下のフォートナム・メイソンもロンドンの紅茶などの老舗だけど、ダージリンのグリーン・ティーが旨い。午後遅い時間は、ロンドン流のハイ・ティーのセットもいい。スコーン・サンドイッチなどつまみながら、油売るひと時(笑)。

2013年