豊島逸夫の手帖

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円安進行、100円の壁にいどむ

2013年11月11日

ドラギECBの抜き打ち利下げ、そして米経済成長率と米雇用統計の予想外の好転。二日連続の三つのサプライズによる共振現象によりドル円が持合い状況から円安トレンドへ抜け出した。
7日には7-9月期の米実質国内総生産(GDP)が年率換算で事前予測の2.0%を大きく上回る前期比2.8%増と発表された。
そして8日には、10月分の米雇用統計の発表。8月、9月分の上方修正も加わり、非農業部門新規雇用者数の増加トレンドが鮮明になっている。
発表前の段階では、3か月平均が14万3000人、6か月平均が16万3000人、12か月平均が18万5000人と、さえない数字で「緩和縮小先送り、3月説」が優勢であった。
しかし、発表後は、3か月平均で20万2000人、6か月平均で17万4000人、12か月平均で19万4000人と、改善が慶傾向値として確認された。緩和縮小開始も一夜にして「12月の可能性」が意識されている。
懸念された米国財政混乱の影響が予想より軽微にとどまった印象が強い。
ドルへの信認も回復してきている。「ドルへの不信任投票」ともいえる金買いポジションは巻き戻され、1300ドルの大台を割り込んできている。
米10年債利回りも、2.75%まで上昇してきた。財政懸念の悪い金利上昇ではなく、経済回復を映す良い金利上昇のパターンである。
その結果、ドルインデックスも財政不安時に79台まで急落したが、現在は81台まで急反発している。

一方、ユーロは、EU圏内の消費者物価上昇率が0.7%と、ECBが適正値とする2%から大幅に下方かい離していることで、7日に市場の予想しないタイミングでの利下げとなった。
ゼロ成長を脱したことでユーロ圏の景気回復期待が一時は強まったが、俄かにデフレ懸念が台頭している。
更に、格付け会社S&P(スタンダード&プアーズ)がフランス国債を一段階引き下げAAとしたこともユーロ不安の再燃を連想させた。
その結果、中央銀行のスタンスとしては、緩和からの出口を模索するFRBと、緩和継続せざるを得ないECBとの対比が鮮明だ。

外為市場では、中期的にドルが買われ、ユーロが売られやすい地合いになっている。
欧米市場では最も取引量の多いドル・ユーロのレートをドル高・ドル安のベンチマークとして見るので、流れは「ドル高」。円は独自要因が薄く、9月の経常収支5873億円黒字の報にも反応薄だ。結局、ドル高の結果として円安に振れやすい。
今週は13日にバーナンキ講演、14日にイエレン次期FRB議長の指名承認公聴会が米議会で開催される。
本欄10月31日「バーナンキ氏もレームダックの兆し」に書いたように、市場の関心はイエレン演説に向いている。
超ハト派とされるイエレン氏ゆえ、量的緩和政策に批判的な共和党議員からの質問をどのようにこなすか。日経コラム11月5日「イエレン氏の描く具体的利上げシナリオ」で言及した「適正コントロール」論を展開するのか。あるいは、共和党議員とのやりとりで、インフレ・ファイター」として通貨価値重視の発言が飛び出すと、市場では「緩和縮小12月説」が勢いを得て、ドル高・円安が加速するだろう。
リスクオンの勢いでドル・キャリー・トレードに走り、ユーロ買いポジションを増やしてきた投機筋が、その巻き戻しに走ると、結果的に円安モメンタムが強まる。
外為市場はドル・ユーロ・円の「弱さ比べ」の様相だが、不等式で表せば、ドル>円>ユーロという相対評価でドルが最強通貨となっている。第二位と第三位の座は僅差のせめぎ合いだ。
「アイガーの壁」といわれる円相場100円の水準が容易に突破できるとは思えないが、最近は持合い状態を続けてきたドル円相場に蓄積された潜在エネルギーが放出されると、大台急接近の局面となろう。

さて、話題は大きく変わって猫!
愛猫ミミとモモが20年ほど生きてから亡くなったショックが尾を引き、もう猫は飼うまい、でも猫を飼いたい、という葛藤を続けてきたのですが、ヒョンなことから新たに猫を飼うことに。
というのは母が飼っていたクロネコ(もともと、庭で弱っていた野良猫を保護したことに始まるのだけど)を、母が面倒見切れなくなって、私が引き取ることになったわけ。
まだ、完全になついてないけどね。人間はカネの切れ目が縁の切れ目というけど、猫は餌の切れ目が縁の切れ目だよ(笑)。餌くれる人に最後はなびく。だから、今は知らん顔して餌だけあげている。
野良猫なので、良い気分になると、よだれ垂らすのには参ったけどね(笑)。
今日みたいに寒いと、ゴロゴロして寄り添ってくる。
それにしても、新潟の天気予報は明日・明後日とも雪だね。
ガーラ湯沢にも降るのかな。
冬になると、NY相場の引け値より、ガーラHP上で発表される朝5時時点の積雪量情報をまず見るようになります。

2013年