豊島逸夫の手帖

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金持ち喧嘩せず

2013年12月13日

最近、資産家とサシで食事する機会が数回あったのですが、そこで思うことは、相場に関して、カネに余裕がある人ほど深追いしない、ということ。逆に、普通の人ほど、自分だけはなんとか最高値で売ろうとか、最安値で買おうとか、もがく。でも、タイミングをつかみきれないまま最後はギリギリのところで、すごすご取引を終えることになる。
本当の金持ちは、売りでも買いでも7合目あたりで実行できれば御の字という感じで動きます。まして、レバレッジかけるなど、無理はしません。
今の金プラチナにしても、まだ下げ余地はありますが、それもあと1割ならGO!と動く人もいれば、「まだ下がるなら大底まで待つ」という人もいます。
「大底」をつかむ難しさを身を持って体験しているプロは、ハナから、そんな大それたことは考えません。いくばくかでも売買益が出れば充分、と、つつましく自分の欲を抑える術を心得ています。
それから、先日合った元大手証券マンは、「銀行や証券会社の肩書のあるアナリストは信用できない。結局は組織の方針に沿って語っているだけ」とつくづく述懐していました。でも、私が経済関連以外のメディアに出るときは、必ずといっていいほど、私の「肩書」が問題になります。メジャーな一般メディアほど、大手銀行・証券会社の肩書を欲しがりますね。その点、米国のメディアは、独立系の人物のほうが発言に制約がないから本音を語れる、という発想が強いので、肩書に対する執着は薄い。

さて、足元の金プラチナ市場は、いよいよ来週のFOMCで、ここまで大騒ぎしてきた「緩和縮小」開始となるか、との緊張感に包まれています。ファンド筋は、taperが12月か1月か3月か、意見が分かれているので、とりあえず、現在保有のポジションを手仕舞い、身辺整理して「その日」を迎えようとの姿勢です。
ですから、今週は、薄商いの中で、一日20ドル以上の乱高下を演じています。
なお、12月16日夜に、日経CNBCの金特番、生放送に出ます。
インド現地取材の番組です。

今週は、年末進行のピークで、あっぷあっぷ。
ガーラの雪が待ち遠しい!!あ、その前に、京都南座の顔見世にも行かねば。仕事で海外が多いと、プライベートでは日本の温泉とか古都が一番です。I love Japan!

2013年