豊島逸夫の手帖

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ソロス氏の見る2014年世界経済

2014年1月7日


「日本の未曽有の量的緩和政策はリスキーな実験だ。経済成長が加速すれば金利は上昇して、公的債務返済のコストは維持できない規模になる可能性があるからだ。しかし、安倍首相は、日本を緩やかに死に至らしめるより、その実験のリスクを取ることを選択した。そして、日本国民の熱烈な支持から判断すれば、普通の日本人も、そのリスクを取る覚悟は出来ているようだ。」



これは、著名投資家ジョージ・ソロス氏の新年寄稿(NPO言論組織「プロジェクト」)の冒頭部分である。最初に「日本経済」について言及している。



そして、2014年世界経済のリスクは「中国」と断じている。その要旨を以下にまとめた。 2013年、中国人民銀行の債務抑制策により実体経済悪化の兆候が出始めるや、党の新指導部はただちに金融緩和を命じた。 ここで、新指導部が、構造改革より経済成長を優先させたことは正しかった。構造改革に緊縮財政が伴えば、経済がデフレスパイラルに陥るリスクがあったからだ。 しかし、成長優先には、債務膨張リスクが伴う。特に輸出・投資主導型経済運営の結果、家計部門がGDPの35%にまで縮小。貯蓄が経済成長を賄うには不十分になった。その結果、さまざまな債務が急増しているのだ。 この成長と債務のジレンマへの対応が、世界経済にも大きな影響を及ぼす。ソフトランディングできれば、政治・経済改革は成功する。しかし、失敗すれば、新指導部への信頼が損なわれ、国内では弾圧、海外では軍事対決の結果となろう。 これが、ソロス氏の懸念するチャイナリスクなのだ。



更に、同氏は、「欧州リスク」にも警戒感を強めている。 といっても、欧州「債務」危機の最悪期は終わった。 今後の欧州危機は、「政治」から発するだろう。 EUは「内向き」になり、シリアやウクライナなどの外部の脅威に対して適宜対応できなくなっている。但し、ロシアの脅威が再燃すると、欧州が団結する可能性はある、という。 なお、今のメルケル首相は、第一次大戦後、ヒットラーを台頭させたフランスと同じ過ちを無意識のうちに冒しているとも指摘している。巨額の賠償金をドイツに課したことでドイツ国内極右派台頭を誘発したことを指していると思われる。 ソロス氏は、メルケル首相の債務国への厳しい要求が、欧州各地域での極右政党の勢力拡大現象を産んでいると述べているのだ。



最後に米国経済については、先進国最強国として高く評価している。 その理由としては、シェール革命、金融セクターと家計部門の債務削減の進展、量的緩和政策による資産価格上昇、住宅・雇用・財政問題の好転を挙げている。 アキレス腱であった「ねじれ議会」の二極化リスクに関しても楽観的だ。共和党の茶会党派は「やりすぎた」。政府機関一部閉鎖以降、共和党の主流が反撃を始めたので、本来の二大政党制度が復活するだろうと予言している。



さて、今日の私の話題はメルケルおばさま、スキーで負傷。3週間休職。シューマッハのスキー事故も壮絶だけど。 私にとっては他人事ではありません。 スキーシーズン4か月前から自主トレ張って、特にスキーの柔軟性に必要な股関節のストレッチを入念にやっています。特に個人事務所になってからは、「講演者、スキー骨折で、今日のセミナー急遽中止」なんて、洒落にならんもんね~~ ちなみに、スイス銀行チューリッヒ本店では、部長職以上はスキー禁止令が出てました。幹部職になると、骨折で3か月現場離れると、全体の仕事に大きな影響が及ぶからね。これも洒落にならん。技術レベルが高くても、進行方向にいきなり初心者がフラフラ横切ってきたりすると、ヒヤリすることもシバシバだからね。ボーダーの連中はゲレンデのど真ん中でブロックするように並んで座っていたりするから、危ない。 そんなわけで、今シーズンも既に8回、スキーやってますが、慎重にも慎重を期して滑ってます。昔みたいに、ナイターまでやる、なんて無茶は絶対しない。大人になったね~(笑)。 エンジョイ・スキー! 気楽に楽しんでます。

2014年