豊島逸夫の手帖

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オバマ大統領の本音

2014年4月23日


オバマ氏はレトリック(巧みな表現)の大統領と言われる。いっぽう、「有言不実行」の誹りを受けることも多い。
今回のアジア歴訪でも、具体的な結果は期待できない。
TPPも、日本国内の思いとは裏腹に、米国側の切迫感は「強い」とは言い難い。
アジア重視の姿勢を、どのような副詞や形容詞を使って謳いあげるか。大統領のスピーチライターの手腕が問われる。市場は、その英文解釈に揺れることになろう。


「ごぶさたしています。昨年10月にお邪魔する予定が、台所事情で政府機関業務停止となり、延期せざるを得ませんでした。その後も、シリア、イラン、ウクライナと御用繁多でしたが、決して、こちら(アジア)を軽視しているわけではありません。」
このメッセージをどのようなレトリックで表現するか。
オバマ大統領のアジアでの発言は、メディアを通して、世界に伝わる。


中東は「イランとの合意も"暫定"。シリアでは柔道の得意なプーチン氏に、外交上見事に一本とられた。」という気持ち。そこで現地紙の見出しは「アジアを徘徊するオバマ」
欧州では、ウクライナ緊迫のこの時期に、キエフには副大統領を派遣し、自らはアジア訪問している場合か、との反応もくすぶる。
米国内には「内政問題山積みで、支持率も低下中のこの時期に外遊か」との思いが根強い。
過半数の共感を得るのは「中国の脅威」ということになろうか。
その中では、TPPの相対的存在感は「強い」とは言い難い。
財政・金融・為替政策に比し、通商政策には長期の交渉が必要で、直ぐに具体的結果が出にくいからだ。
今回のアジア歴訪は「顔見世興行」と割り切るべきだろう。


さて、金価格は1280ドル台までじり安。1300ドルは割れたけど、まだ買う気はおこらない。1250ドルくらいから。地合いはウクライナが下支えして、この水準で収まっている感じだ。

2014年