豊島逸夫の手帖

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金急騰、プラチナ・パラジウム急落・反騰の乱高下

2014年6月16日

欧州出張中に俄かにイラク情勢が緊迫化して、またまた「有事の金」と騒がれ金が買われています。

一方、南アの鉱山では、会社側と労働者側が歩み寄り、スト解決に向けた動きが、これまた突然生じました。その結果、ストをはやして買っていた投機筋が一斉に手仕舞い売りに出たわけです。でも、世界的にカネ余り現象が続いていますから、下がったところで、また別の買いも入る、というわけです。
欧州出張中にも取材の電話があったので、ひとしきり相場観を語ったのですが、そのコメントが先週の日経朝刊(土曜日)に引用されていました。
「ストが終わればマネーの逃げ足も速い」といコメントでしたが、記事が書かれた前日の時点では、まだスト収束の見込み絶たず、「プラチナもパラジウムも値上り傾向」が続くと見られていました。ところが、その記事が載った日本時間の土曜日には、既にプラチナ・パラジウムの価格は急落していたのです。結果的には、価格が下がったのに、「パラジウム価格上がる」という記事になってしまったということでした。紙の媒体には〆切時刻があるので、〆切後に相場が急変するとこういうことが起きるのですね。
私も「ストが終われば、マネーの逃げ足は速い」と取材時点では「釘刺し」のつもりで確かにいいましたが、まさか、その日の夜にそうなるとまでは想定していませんでしたよ。
ただ、常々書いているように、この価格乱高下こそが、プラチナ・パラジウムの特徴なのです。

今後、本格的にストが終われば、もっと下がるでしょう。そうしたら、私は、また、プラチナは買います(買い増す 笑)。
いつも言っているように、プラチナはストライキで上がったところで売り逃げる。そして下がったところで、買っておく。2-3ヶ月もすれば、また、「南ア政情不安」とかで囃され買われますよ。鉱山ストライキは、南アという国の人種間の緊張関係を映す鏡なのです。アパルトヘイトが撤廃されても、黒人の生活は良くなっているどころか、悪くなっています。

2014年