豊島逸夫の手帖

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プラチナ・パラジウム続騰

2014年7月2日

プラチナは約30ドル急騰して1500ドル台に乗せた。

パラジウムも約10ドル上昇して850ドル台をつけている。

これまでは、南ア鉱山ストライキに発する供給不安が囃されてきたが、昨晩は、米国自動車新車販売台数が8年ぶりの水準(年換算1698万台、前年比6.8%↑)まで回復したことが、注目された。自動車排ガス清浄化触媒に使われるメタルなので、直接的に効く材料だ。
供給サイドから需要サイドに市場の目線が移ってきたことは重要だ。供給サイド要因より需要サイド要因のほうが、一過性ではなく持続性があるからだ。筆者も、需要サイドの変化は重視する。

なお、米国はガソリン車なので、使われるメタルはパラジウムである。しかし、市場が投機化すると、強引になんでも買い材料に仕立てあげてしまうものだ。プラチナは、ディーゼル車に使われるので、欧州の自動車販売台数に影響されるのだが、もはや、市場はお構いなしに買いの口実として囃す。
更に、今や、自動車販売台数世界一の中国市場(ガソリン車)でも、マクロ経済指標で、工場生産、PMIなどが好転したことも追い風となっている。

なお、後退していたウクライナ・リスクが、再び緊迫していることも要因のひとつだ。
ウクライナ政府と親ロ派との停戦が期限切れとなり、再び内戦が激化している。プーチンも、欧米の経済制裁を警戒して、従来より慎重な対応を見せている。もはや、ウクライナ内戦は制御不能状況となった。

これで、昨日本欄に書いたグローバルマネーの循環物色対象として、プラチナ・パラジウムが益々クローズアップされそうだ。

金に関しては、イラク情勢の悪化が効いている。
マリキ現政権がシーア派に傾きすぎているので、米国は、マリキ首相追い出し作戦に取りかかっている。かといって、シーア派、スンニ派、クルド人の三つの国内勢力をまとめられる人材など居ない。事態をややこしくしているのは、今回反乱しているスンニ派過激集団に対して、米国もシリア・アサド政権も「鎮圧」の姿勢では同じ立場に立つことだ。イラク・シリアの両国にまたがる問題になっているので、当面収束の見込みは立っていない。

2014年