豊島逸夫の手帖

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米イラク軍事介入に身構える市場

2014年8月8日

地政学的要因の切迫感がウクライナからイラクに移りつつある。米大統領はイラクへの限定的空爆を承認した。
あくまで現地の米人救済目的であることを強調。「危機があるたびに介入するわけでもなく、介入すべきでもない。軍事力行使決定ほど厳粛に受け止める決断はない。」とも語っている。
既に7日の欧米市場ではロシア軍ウクライナ侵攻の可能性より、米軍のイラク北部軍事介入の懸念が急速に強まっていた。スンニ派過激組織ISILの侵攻がイラク北部にまでエスカレートしたからだ。「(イラク北部のクルド系住民たちは)迫害から逃れ山中をさまようがISILに封鎖されている。居住施設も食糧も水もない。極めて非人道的な状況だ。」
このホワイトハウス報道官の発言により、同地域への米空軍による緊急援助物資投下の切迫感が急速に強まった。
「全ての可能性を排除しない」とのコメントも「米軍軍事介入も辞さず」と市場では解釈された。


この発言後、7日のニューヨーク市場では、株が一段と下げ、米国10年債は利回り2.41%まで買われ、原油価格も上昇した。
ロシア軍のウクライナ侵攻と、米軍のイラク軍事介入の可能性が同時に懸念され、共振現象により、リスクオフが増幅されつつある。ガザ地区の展開も予断を許さない。
市場の本音は、地政学的要因のインパクトに優る影響力を持つ主要中央銀行からの一言だ。緩和バイアスの強いハト派的言動が、市場の悲観論にはなによりの癒し効果がある。


しかし、イエレンFRB議長の次の公式発言は、今月下旬のジャクソンホール中央銀行会議まで予定されていない。地区連銀総裁クラスの発言では力不足の感は否めない。
ドラギECB(欧州中央銀行)総裁は、7日のECB理事会後の記者会見で、「地政学的要因の欧州経済への影響あり」との認識を示した。しかし、市場が期待する量的緩和導入に関する新たな発言はなかった。
そして、8日には日銀黒田総裁の記者会見。
海外からの注目度も高い。
ロシアの対抗制裁措置対象国から日本が除外されたことで、「ウクライナ情勢の影響を受けにくい国の通貨」として円の相対的「安心度」も高まっている。


金は1315ドルまで上昇後、頭が重い。
金に連れ高でプラチナが急騰。20ドル近く
上がって1480ドル。パラジウムも860ドルまで反騰。
貴金属市場も引き続き地政学的要因で動いている。
但し、米イラク空爆承認の報道では、「噂で買ってニュースで売られる」局面もあった。


最後に今日の写真はスイーツ!
まず、アップルマンゴとパイナップルのソテー


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次が、桃のスープと抹茶のアイスクリームと抹茶の泡


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乳酸菌タップリのフロマージュ・ブラン、マスカット風味


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以上、20年以上の付き合いのオテル・ド・ミクニのランチでした。三國シェフは最近日経夕刊に定期コラム書いてます。

2014年