豊島逸夫の手帖

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「世界景気緩やかな回復」の前提条件に暗雲

2014年8月15日

お盆ですが、今年は、イラン・ウクライナ情勢緊迫化など世界経済は激動しており、仕事をしております(やむなく笑)。

特に、ここまで、貴金属のみならず株・外為市場で多くの市場関係者(含む私)が大前提として考えていたことが、やや揺らぎ始めたことが気になっています。それは、日経などの記事でも頻繁に枕詞の如く使われてきた「2014年は世界経済緩やかな回復」という前提条件です。

昨日は、欧州で4-6月期のユーロ圏経済成長率が遂にゼロ成長に落ち込み、いよいよ「日本型デフレ」の可能性が強まってきたこと。特に、欧州経済の推進役たるべきドイツ、そしてフランス・イタリアの経済停滞・減速が懸念されます。ドイツは、ウクライナ情勢のあおりをまともに受けていることも当然ですが、構造的に、結局ユーロ圏内の貿易で稼ぐ「輸出主導」体質から未だに抜け切れていないことが問題です。根は深い。

そして、我が日本経済。4-6月期の経済成長マイナス6.8%はたしかに大幅な下落ですが、消費増税の影響として織り込み済みというか想定内でした。

しかし、4-6月の機械受注がマイナス10.4%という数字は不気味です。

ある程度の落ち込みは想定内でしたが、リーマンショック以来最大の下落幅となると、これは気になります。機械受注という経済統計は、企業が、将来にどの程度自信を持って設備投資を行っているかを示す「先行指標」だからです。企業経営者は予想以上に慎重なのですね。

次に中国経済ですが、ミニ刺激策が功を奏して、足元では楽観論が増えていますが、不動産価格が低迷・不安定なことと、影の銀行問題のような金融不安要因が構造要因として残ります。中国政府は、大気汚染の改善が進んでいると「大本営発表」していますが、酷い状態が多少良くなって程度です。腐敗の問題もビックリするくらい上層部にはびこっていた(いる)ことが次々に明るみに出て来ています。

日欧中経済が不安となると、やはり頼みは米国経済。

間違いなく、日欧中に比べれば、景気回復は進んでいます。失業率も改善しているし、新規雇用は増えています。しかし、イエレンFRB議長は、不動産市場や雇用の「質」の面で、まだまだ予断を許さずと慎重な見方を変えていません。

それだけに、来週以降、ジャクソンホールでの中央銀行会議、そして9月16-17日のFOMCが注目されるのです。

私もしばらくNYに行ってきます。

なお、マネーは今債券市場に流れています。ドイツ国債の利回りはついに1%の大台を割り込み、同日に、米国10年債の利回りが今年最低の水準(2.4%割れ)まで下落したことが象徴的です。我が日本国債も0.5%の大台攻防です。

金利が下がれば、金利を産まない金は買われやすい、ということで金価格は1310ドル台までジリジリ上がってきました。

さてさて、今日も食い物の話。

私は、日本食抜きでは生きられないほど根っからの日本人体質なのですが、唯一の例外が、イタリアのオリーブオイル・ルッコラ(野菜)・プロシュット(生ハム)・パルメジャーノ(チーズ)とフォルカッチャ(パン)の組み合わせ。

貴金属の世界で長い時期、宝飾関連にも携わり、イタリア出張が多かった頃についた食習慣です。

それが、私の主食の一部になっていたことを思い知らされたことがありました。数年前、福島の高原で2週間ほど夏休みを過ごしたときのこと。毎晩、近くの村の食堂で、ラーメン・とんかつ定食・親子丼・刺身定食などを食べ続けていると、むしょうにカラダが上記のイタリアンセットを渇望してきたのです。普通に生活していると、例えば、朝食は納豆・味噌汁・海苔が絶対必需品で、海外出張にも持ち歩くほどなのですけどね。朝からクロワッサン出されても、喉を通らない。そんな日本人体質に、いつのまにか、イタリアン食習慣がシッカリと根付いていたことに気が付いたのでした。

納豆もオリーブも私の欠かせない主食。

なかなかに厄介な食習慣です(笑)。

2014年