豊島逸夫の手帖

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円売りを止めるか スコットランド

2014年9月19日

NYのトレーディング・デスクは24時間の臨戦態勢でスコットランド独立選挙に備えている。郊外から一時間以上の通勤者が多いので、今夜ばかりはマンハッタンに泊まり込み、アジア時間に判明する選挙結果を待ち受ける。

FOMCは長く議論されてきた材料だが、スコットランドは降って湧いたようなテール・リスクだ。
ここまで円を売り続けてきたディーラーたちは、膨らんだ円ショート・ポジションの買戻し手じまい機会を虎視眈々と狙っている。そこで、スコットランド独立ともなれば、手じまいの恰好の口実となる。テール・リスクが現実となれば、市場はリスクオフに転じ、「逃避通貨」としての円が買われるシナリオである。
ポンドが売り込まれれば、どこかの通貨が買われる。
その第一候補は断然ドルであるが、ドル買いポジションは今や異常に膨らんでいる。そこで、次善の選択として、円買いポジションが浮上してくる。
アナリストがコメントしたがらないほど未体験のイベントが起こるとき、相場の決定要因は、市場のポジションとなるのだ。
中期的な円安の流れは変わらないが、短期的には、調整のタイミングでもある。

目下、NY株式市場の関心はアリババ上場に集中しているが、通貨デスクはall eyes on Scotland=全ての目はスコットランドに向いている。
このようなテール・リスク相場では、結果が判明した瞬間からアルゴリズム取引が(独立の場合には)ポンド売り・ドル買いを一斉に発動させるだろう。まずは、トレンド・フォロー型のファンドが動く。
その後、この波が一巡すれば、ドルの吹き値売りに動くファンドの動きも顕在化する可能性がある。

しかし、ドル買いの底流は変わらない。日米欧金融政策の違いによる構造要因に支えられているからだ。そのドル高局面を時系列的に見ると、まずはユーロ売りに火が付き、円に飛び火。そして、いままさに、選挙結果次第で、売りの標的はポンドに移るタイミングにあるのだ。

そして金は1220ドル台。底値圏。プラチナも底値圏。1340ドル台。とにかくドル高要因。貴金属の下げはいつまでも続かない。円建てでも円安で下がらないね。やはり底値圏。

さて、今日の写真は、NYMEX,街頭撮影、見かけた猫ちゃん(猫好きだから、つい目が向く)、そして、エッサ・ベーグル。出来立てを朝食に食べた。シナモン・フレーバーとトマト・ピーマン・フレーバーのスプレッド。たしか東京の大丸に出てたけど撤退したのかな。NYのサード・アベニューの店にスタッフがランのついでに買ってきてくれた。

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2014年