豊島逸夫の手帖

Page1779 激怒したドラギ氏、耐えるイエレン氏

2015年2月6日

欧州中央銀行(ECB)によるギリシャ国債特例措置撤廃決定のプロセスは異例ずくめであった。
深夜のECB理事会緊急招集、直後のニュースリリース配布。既に、NY時間では市場クロージング前であった。
その直前に行われたギリシャのバロファキス財務相との会談で、ドラギ総裁の「忍耐」も遂に切れたのだろう。
「いい加減にしないか。緊縮も投げ出し、構造改革も振り出しに戻し、その上で、金融支援の条件は緩めてくれだと。いくらなんでも虫が良すぎるだろう。更に、スペインやポルトガルが「正直者は損する。」気持ちになるようでは、しめしがつかない。」
筆者の勝手な想像だが、これがドラギ氏の本音ではないか。

そもそも、ジャンク債並み格付けのギリシャ国債を担保に0.05%という低金利で特例融資を続けることは、金融節度を重んじる中央銀行家として許容しがたい。
くわえて、5日には、独ショブレ財務相とバロファキス財務省が直接会談したが、その後の記者会見で、ショブレ氏は憮然とした表情を隠さず「我々は、意見が折り合わないという不合意で合意した」と語った。
大阪を舞台にした街金ストーリーの主人公の決め台詞「借りて返せぬあんたらには辛い目にあってもらわんと。」が、ふと筆者の頭に浮かんだものだ。
一方の、ギリシャでは、メルケル首相が、ギリシャを辛い目にあわせるという憎まれ役となっている。
筆者がアテネでの家庭訪問で会ったお母さんの言葉が忘れられない。
「私は日本人が好きではなかったのよ。だって、貴方の国はナチと結託した歴史があるでしょう。でも、東北大震災からの復興を見て、日本人を見直したの。でも、でも、メルケルのドイツだけは許せないわ。」
救済する側とされる側の溝は容易に埋まらない。
街金の世界であれば、夜逃げという最後の手段があるが、国は夜逃げできない。ただし、ギリシャについてはユーロ離脱という危険な賭けの選択肢は残る。

それにしても、借金もけた違いに膨らむと開き直れる借りた者勝ち。一番困るのは貸した側となる。実はユーロ不安=ユーロ安でドイツ経済は恩恵を受けている。しかし、ドイツ国民感情は「ギリシャ許すまじ」。ドイツに行くたびに、政治の街ベルリンと経済の街フランクフルトの温度差を感じる。メルケル首相もベルリンでは選挙民を意識してギリシャ強硬論を声高に語るが、フランクフルトでは「ギリシャのユーロ離脱だけは避けよ。」と圧力をかけられる。

いっぽう、米国連邦準備制度(FRB)議長イエレン氏の「忍耐」が試される雇用統計が今日発表される。
こちらは「利上げ」の機が熟するのを「忍耐強く」待つスタンスを表明しているからだ。
イエレン氏の忍耐を試しているのは、ドル高・原油安。
米国は輸出依存度が相対的に低いとはいえ、一連の決算発表で、さすがにドル高の企業業績への悪影響も無視できなくなってきた。
賃金が上昇する兆しがなかなか見えない。
前回12月雇用統計では、平均時給が前月比で0.2%減。
4日発表されたISM非製造業総合指数を見ても、小幅上昇ながら、雇用指数は昨年2月以来の低水準だ。
そして、原油急落がインフレ率をFRB安定目標値2%から下振れさせている。
ハト派イエレン氏の色に染まった2015年FOMCが、忍耐強く利上げ開始時期を9月、12月、あるいは2016年3月まで待つのか。あるいは、市場の期待どおり、6月に「忍耐強く待ったが、利上げの機は熟した。」と判断するのか。
今日の雇用統計は、その忍耐を計る、有力な手掛かりになりそうだ。

金は1260ドル台。プラチナが1250ドル台。
金プラチナ値差縮小中。

今日の写真は、稀に見る大雪のガーラ湯沢スキー場。

2049a.jpg2049b.jpg積雪量は既に4メートル超え、5メートルになるかも。
ゲレンデ整備の人たちは毎晩地獄だろうね。
いっぽう、北国の人たちにとっては、雪は戦う相手。
除雪作業がハンパではない。スキーヤーの立場で、素直に雪に恵まれ、とは言えないよね。

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