豊島逸夫の手帖

Page1817 雇用統計悪化、金プラチナ急騰

2015年4月6日

6日発表の米雇用統計悪化の市場への影響を短期的に見れば、非農業部門新規雇用増の急減が一過性か否かで見方が分かれる。冬季悪天候・西海岸港湾ストという特殊要因の影響は無視できまい。平均時給が前月比0.3%増は、注目すべき好材料だが、深く構造要因に根差す賃金動向を1ヶ月のデータだけで判断することにも無理があろう。

いっぽう、中期的に米国経済動向を見れば、これまで、米マクロ経済データが相次ぎ悪化を示すなかで、雇用統計好転だけが突出していた。それが、今回は「雇用統計よ、おまえもか」ともいえる結果になっている。まだ雇用も悪化と結論づけるのは早計だが、少なくとも、あの雇用にさえ不透明感が出てきたことは無視できない事実だ。

具体的に米マクロ経済データの中期動向をおさらいしてみよう。

まず、ISM製造業景況感指数は、2014年8月の58.1から同12月55.1、そして2015年3月51.5と減少傾向は明らかだ。

住宅関連データは、まだら模様。先週発表されたS&Pケース・シラー住宅価格指数の米主要20都市圏は2015年1月が前年比4.6%上昇。しかし、3ヶ月平均で見ると、2014年8月7.32%増が2015年1月0.76%減となっている。

更に、小売り売上高も1月0.8%減、2月0.6%減。特に、GDPの消費支出と関係が深いコア売上高(自動車、ガソリン、建設資材、飲食業除く)も2ヶ月続いて横ばいになってきた。家計の中で原油安により浮いた分が、消費されず貯蓄されているようだ。

こうなると、注目の1~3月期GDPも前期の2.2%から1%台への下落が視野に入る。

その中で、新規雇用者数3ヶ月平均が2015年1月31万8千人、2月26万5千人、3月19万7千人と20万人の大台を割れてきた。ちなみに2014年3月は19万3千人だった。

このような流れの中で、市場には「年初に想定したより米経済は弱い。」との観測が急速に高まっている。

注目の米利上げ時期も、6月開始に固執する見方が減り、9月以降への後ずれ見解が急増中だ。

イエレンFRB議長が利上げ開始時期について最も具体的かつ詳細に述べた3月27日のサンフランシスコ連銀における講演の長文原稿にも次の一文がある。

「インフレ目標達成への私の自信を高める重要な要因は、雇用市場での持続的改善だ。」

更に、「名目賃金指標は金融政策の範疇を超えた構造要因の影響もあり不安定で、インフレ目標達成を示す指標としての有用性は限定的。」と述べている。

今回発表された最新雇用統計に、この見解を当てはめれば、「新規雇用者数の持続的改善は不透明になった。平均時給は上がったが、このデータだけで賃金傾向を論じることは出来ない。」ということになろうか。

そこで、外為市場で、「ドル一人勝ち」シナリオが後退して、「ドル・ユーロ・円の弱さ比べ」の様相を呈してきた。

ここで、これまで蓄積された巨額のユーロ売り・ドル買いポジションが一気に巻き戻されると、ドル安が急速に進行するリスクがある。欧米市場ではドル・ユーロの通貨ペアが最大のマーケット・シェアを持つので、ドル・円もドル安・円高に振られがちな地合いとなろう。

かりに、ここで、ギリシャのユーロ離脱の切迫感が増すと、逃避通貨としてドルより円が選好される可能性が強い。

長期的には、いずれ米利上げ不可避ゆえ、ドル高トレンドは変わらないにせよ、中期的には、利上げ開始までの時期が長くなれば、市場が焦れて115円まで円高に振れるシナリオも念頭に置くべきだろう。


日本株も、円高とのディカップリング(非連動)が語られてきたが、急速な円高進行ともなれば、やはり株価上昇の重しとなる可能性は否定できない。

なお、グローバルなマネーの流れの視点でみれば、米国株→欧州株の次に日本株が運用対象として浮上する可能性が引き続き強い。

そして、利上げ観測が後退して、急騰したのが、金・プラチナ。

金は15ドルほど上がって1216ドル。

プラチナは25ドル上がって、1175ドル。

ドル安・円高でも円建て金価格は上昇。

中期的に利上げの執行猶予期間が伸びた感じだね。

さて、週末は、充実の2日。

土曜日は春スキー。下界は曇っていたけど、山の上は快晴。(写真)

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盆地を覆う雲を下に見て滑った。

休日スキーは、後の温泉もゆっくりつかって、リラックス。それでも午後2時には帰宅して、爆睡。

そして日曜日は雨模様。

そこで、急遽、歌舞伎座へ。

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ネットで空席チェックしたら、なんと第一列の真ん中が空いていた。キャンセルだろうね。

目の前で、がんじろはん(四代目中村鴈治郎襲名披露公演)の襲名口上が見られた。「六歌仙容彩(すがたのいろどり)」が良かった。

紀貫之の文屋康秀評が「歌のさまは得たれども、心少なし。」

歌としてのカタチは整っているが、ココロに響かず。

在原業平評は、「こころ余りて言葉足らず。」

フーム、これ、講演にも通じるものあり。

何事も、ココロとコトバのバランスが大事なんだね~。

昼の部の最後は、藤十郎さんと親子で「吉田屋」。

フィナーレに千両箱が座敷に積まれ、メデタシ・メデタシ。

幕間に食べたアツアツ人形焼も美味でした♪

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