豊島逸夫の手帖

Page1849 円140円、株2万2千円の現実味、そして金は?

2015年5月29日

「これまでユーロ相場で暴れてきた投機マネーが、本格的に円に向かえば、140円も絵空事とはいえない。」

「世界の株式市場で日本株独歩高の様相だ。円安が起爆剤となって世界の緩和マネーが日本株に向かえば、日経平均2万2千円程度は、控えめな予測ではないか。2万3千円から2万4千円は期待したい。」

ドル円125円、日経平均2万2千円予測を語った筆者に対し、NYのヘッジファンドたちが反論してきた。

まず、外為市場だが、冷静に考えれば、140円どころか130円でさえ、G7で麻生がけん制発言したごとく、通貨当局が許容できる水準ではあるまい。

とはいえ、世界の市場を徘徊する緩和マネーは、時にして、官に挑戦するごとき行動に走る場合もある。

更に、グリーンスパン氏の言葉を借りれば「根拠なき熱狂」が市場を席巻する場合も珍しくない。

今年の外為市場では、これまでドル・ユーロの通貨ペアに投機マネーが集中した。欧州中央銀行(ECB)量的緩和発動をテコに、年初(1月2日)は1.20台であった対ドルのユーロ相場が、3月11日には1.05台まで急落した。2ヶ月ほどで約12%の下落幅だ。その後、ドイツ発金利波乱の過程で1.14程度まで反騰したが、足元では再び1.10台に下落している。まさに投機マネーに翻弄されている状況だ。

ドル・ユーロといえば、世界の外為市場では最も取引量の多い通貨ペアである。その通貨ペアを短期的に12%も動かすマネーのエネルギーが対ドルでの円売りに向かえば、1月2日の120円台から135円前後に振れてもおかしくはない。

ヘッジファンドの言い分では、ドル・円の通貨ペアの取引量はドル・ユーロより小さいので、流動性も相対的に少なく、投機筋にとっては動かしやすい。モメンタムで瞬間的に140円タッチも考えられる、ということになる。

(ちなみに、国際決済銀行BISが3年ごとに発表する世界外為市場取引量レポート2013年9月版では、ドル・ユーロが24.1%、ドル・円が18.3%となっており、他通貨ペアとは別格の市場規模である。)

このような相対的ロジックで動く巨額のマネーが、今年これまでは見向きもしなかったドル円に注目し始めたことは確かなので、乱気流に巻き込まれるリスクは覚悟せねばなるまい。

そして、日本株市場。

こちらは「熱狂」というほどの過熱感はなく、「根拠」も企業業績・株主還元・日銀や年金の買いなど十分に備わっている。

それでも、これまでは、世界の多くのマネーが欧米株に流れていた。今後も彼らが欧米株主体の運用を続ける構造は変わらないだろう。

しかし、米利上げとギリシャという二大不安要素をかかえるので、国際分散投資によるリスク分散を迫られていることも確かだ。

そのような市場環境下で、欧米の運用担当者が「アイ、ライク、ジャパン I like Japan」という表現で日本株を語り始めた。

28日には、中国株・欧州株・米国株と時系列的に下げが続いたので、「日経平均27年ぶり10日続伸」という報道への注目度が殊の外高まっている。そこで冒頭引用した「日本株独歩高」という見方が浮上するのだ。

特に、日本株は「アジア株」の範疇で語られることもあるので、上海株が28日に6.5%も急落したことが、相対的な日本株の安定性を際立たせている。「中国株は、所詮、初心者個人投資家集団中心の相場。当局のマージン規制などで、ネズミの大群のごとく、右往左往する。」とのヘッジファンドの呟きが象徴的だった。

そこに円安という日本株には追い風が吹く。

円安は、欧米投資家にとって、ドル換算での日本株価下げ要因だ。

そこで、円売りヘッジが必要条件となる。

総合的に、株式市場での日本株買いと、外為市場の円売りが有機的に結びつく構図となってきた。

ドル円は、140円は極論にせよ、130円は視野に入る。

日本株も、ギリシャと米利上げの外的要因をこなせば、年後半に2万2千円が控えめに見える市場環境が形成されつつあるようだ。

円安が130円にでもなれば、円建て金価格は上昇しよう。円が130円になるようなドル高時には、NYドル建て金価格は1150ドルを割る水準が予想される。しかし、円安ピッチのほうが上回るだろう。金国際価格1150ドル以下では、中国インドの買いが活性化するからだ。

さて、読者には英語勉強熱心な人も多いようで、昨日の英文原稿を載せます↓

http://asia.nikkei.com/Markets/Tokyo-Market/Additional-easing-less-likely-as-yen-slides

それから、今日29日午後8時以降に、日経CNBCで「金融闘論」放映。80分の収録が、正味28分の時間枠内で、どのように編集されているか。興味あるね。テレビ番組の制作現場を垣間見る機会にもなる。地上波でも収録3時間もあったのに、それが正味40分程度に編集されていたり。発言も途中がぶっちぎられて、カット・アンド・ペイストみたいに切り貼りされていたり。番組編集者のさじ加減で、番組はいかようにも変わる。だから視聴者も安易にうのみにしないようにね。

そして、昨日は、平日ゴルフ。スキーシーズンは午前中スキーで昼には事務所に戻りNY時間まで仕事が出来るのだけど、ゴルフは時間かかるね~。昨日も、朝5時のNY大引け見てから原稿書いて、ゴルフ場行きの電車の中でも書き続け、着いてから送信。カートにはタブレット持ち歩き、ホールごとに相場チェック。昼食抜きで取材電話応対など。終わって、なんとか欧州市場オープニングまでには仕事場に戻った。夕食食べたら、睡魔に負け爆睡。夜12時頃、ほぼ習慣的にNY市場開始に連れて、目が覚めて、朝まで市場フォロー。やっぱり平日ゴルフは慌ただしい。それでも、兄弟夫婦ゴルフなので和やかで楽しかった♪睡眠不足で半分寝ているような状態だったけどね。相手の義兄は、以前、日経の「交遊抄」でも紹介したことあるけど、元財務省。妻が姉妹という関係でつながってるけど、私の妻が妹なので、兄下と呼んでいる(笑)。

川越市の霞が関CCだったので、裏磐梯に比べて蒸し暑い!あそこは、当日のスタート表がデカデカと電子表示されている。

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東京オリンピック会場に決まって、いずれ、東のコースは全面改造のため閉鎖になる。昔ながらの作りなので、今のままでは、距離が短すぎる。ハザードのはずの名物ポットバンカーを軽々越えられてしまうからね~。

もう一つの写真は、金融闘論の一場面。FOMCメンバーの金利予測分布(2015~2017以降)と、マーケットの予測が乖離していることを説明中。どちらかに収れんする過程で、市場は荒れそう。私は、下のマーケット予想の線に収れんすると思う。

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ちなみに私は依然、2015年に利上げなし派。そのワケは番組で詳しく。(カットされてなければ 笑。)

相手の尾河眞樹は利上げ12月説。彼女とは家族ぐるみの付き合いが長いので、闘論というわりには、なごやかになっちゃった。

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