豊島逸夫の手帖

Page1866 Bilili Emotion (ビ、リ、リ、エモーション)

2015年6月23日

今日のタイトルは???分からない人多いかもね~。

Superflyのヒット曲。

「下がれevil, 上がれfeeling、私は never die」とか「崖っぷちだよ、ジーザス!下げろangry, 上げろhungry」とか、歌詞が今のアテネ市民の心みたいなんで。。。。()

興味ある人は、下記のyou tubeで見られるよ。

NHKスタジオ101でのライブで歌ってる。

盛り上がるには良いと思います~。

https://www.youtube.com/watch?v=3QDJXHaUTD8&feature=youtu.be

なんで、私のような、おっさんにsuperflyが響くのかと思ったら、60~70年代のロックに影響された歌手だって。それで合点がいった。なんせ自分は学生時代はドラム叩いていたからね。

さて、本文。

ギリシャ救済交渉は、メルケル首相とチプラス首相が、それぞれの国民を説得できるギリギリの線を模索する展開といえる。

選挙民の手前、それ以上は絶対越えられない線を、ギリシャ側は「レッド・ライン」と称している。具体的には、聖域とされてきた年金と消費税が、そのレッド・ラインにあたる。

この年金・消費税に関するこれまでの交渉の詳細は、15日付け本欄「今週ギリシャ決裂と利上げ示唆が重なると、どうなる」を参照されたい。

22日にギリシャ側から提出された新提案は、このレッド・ラインに踏み込んだので、債権団からも「方向性は評価できる。」とされた。

では、どの程度、踏み込んだのか。

まず、年金改革の「目玉」は、受給開始年齢を67歳にまで引き上げる案。但し、現行のギリシャ年金制度では、大筋55歳を過ぎると、早期受給の資格が認められる。そこで、ギリシャ国民を説得するギリギリの線として、2025年までに段階的引き上げとした。

それでも50代からの年金受給は当たり前と思ってきたギリシャ国民が、ユーロにとどまる代償として、すんなり受け入れるか否か。いっぽう、独国民感情からすれば、これまで自分たちの税金から巨額の支援を受けてきた国の国民が、当面は50代から年金生活では、ただちに納得はしがたいであろう。厳しい年金支給額削減を求めるは必至だ。そもそも、ギリシャの年金制度は、確定給付年金が殆どなので、これまでのような財政歳出依存の資金繰りでは、もはや立ち行かない。

次の目玉の消費税(ギリシャでは付加価値税)に関しては、軽減税率方式をほぼ撤廃して、23%に一元化する案が示唆された。(現行は、6.5%、13%、23%の3段階に分かれる。)エネルギー関連や、稼ぎ頭の観光業の目玉であるエーゲ海島々のホテル・レストランへの軽減課税撤廃などをギリシャ国民がすんなり受け入れるか否か。

年金実質減額・消費税増税を、既に緊縮疲れ甚だしい国民に強いることへの強い抵抗は容易に想像できることだ。

政局不安、総選挙、あるいは、国民投票などの事態が考えられる。

ちなみに、ギリシャの選挙は古代「陶片追放」(オストラシズム)の影響がいまだに残る。僭主の出現を防ぐために、市民が僭主になる恐れのある人物の名前を陶片に刻んで国外追放にした古代アテナイの制度だ。現代では、現首相に不満が高まれば、総選挙で追放する、との発想となる。僅差の選挙勝利で連合政権を組み政権の座に就いたチプラス首相が「選挙追放」の対象にされれば、債権団との救済交渉もふりだしに戻る可能性がある。

実際にアテネ市民と対話してみても、ユーロ離脱賛成か、と問えば、まずNOとの答えが返ってくる。しかし、債権団の条件を飲むことで、自分たちの収入が今以上に下がるなどの痛みに耐えるのか、と聞けば、これまたNOとの反応が多い。

マクロ的には、ギリシャの財政プライマリー・バランスは現時点で赤字に再転落していると見られる。それを少なくともプラスに戻す目標を掲げることは、更なる歳出削減を意味する。産業基盤が極めて脆弱な国ゆえ、自然な税収増はまず望めない。そこで、今回のギリシャ新提案では、法人税増税(26%→29%)が盛り込まれた。更に、大企業には時限措置ながら12%の追加増税も加えられている。これを聞いたアテネ財界からは、「信じがたい。」との声が既に聞こえてくる。

結局、今回もやはり実質先送りとなりそうだ。

時間稼ぎのための妥協案を、今週、事務レベルで検討する段階に入ってゆくと思われる。

欧州中央銀行も、ギリシャ民間銀行の自己資本に「繰延税金資産」が多いことに懸念を示しているが、生命線の緊急流動性供与(ELA)は足元で若干ながら増額している。取り付けは回避する姿勢だ。

(それにしても、軽減税率とか繰延税金資産とか、日本人には馴染の単語が飛び交うものだ。)

IMFはギリシャのプライマリー・バランス赤字再転落を断じており、債権団の中では最も強硬派とされる。しかし、自ら国際債務不安の負の連鎖のボタンを押すことはためらわれよう。

市場も、そのあたりを読み、最悪の事態は回避されるとの「楽観論」というより「安堵感」から、欧米株式・南欧国債を買い向かい、ドイツ国債や金などの安全資産は売られた。

ギリシャ株も急騰して、銀行株などは20%を超す上げ幅を記録している。もはや、仕手株なみの様相だ。

中期的には潜在的攪乱要因としてギリシャ情勢をフォローしているが、足元では、イエレンFRB議長の「利上げはゆるやか」との言葉に励まされている。いまや、ウオール街では、「忍耐強く」に代わり「ゆるやかに=gradual」との単語がキーワードになった。

FRBが引き締めへの転換を急がずと明言している限りは、利上げが視野に入っても、過剰流動性相場の地合いは変わらないようだ。

1. 緊縮の痛みをもろに受けた、アテネの庶民の台所=市場は閑散。債務危機前は、溢れんばかりの人出だったという。(筆者撮影)

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2.
アテネ証券取引所(筆者撮影)

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