豊島逸夫の手帖

Page1868 ITバブル以来の日本株どうなる

2015年6月25日

最近は、日本株についても、いろいろ書いているので今日のテーマは日本株。

ギリシャ支援交渉は、やはり先送りされた。

いっぽう、米国は依然利上げの呪縛から抜け切れない。

中国は上海株乱高下。

世界的に不安定な相場環境が続く中で、短期的には、日本株にも、その影響は避けがたい。

しかし、欧米年金・政府系ファンドなど長期投資家の反応は異なる。

日本株の質的向上・官の下支えによる「有難い安心感」が醸成されつつあるからだ。

「ITバブル超え」も、はやされるが、これはあくまで日本国内の視点。

欧米長期投資家の多くは、当時の日本株と今の日本株は「別物」と見ている。株主重視への転換基調、日銀・GPIFの参入が、外から見る日本株市場の景色を変えたといえよう。

その欧米長期投資家の間で、今のキーワードは「国際リスク分散運用」。

2015年1~3月期は、欧州中央銀行(ECB)量的緩和導入の波にのって米国株から欧州株へのマネー分散が目立った。しかし、欧州版QEという材料も賞味期限が近づき、更にギリシャ不安も再燃。世界の投資資金の一部だが、「西から東」への分散が始まった。欧米株の運用配分を若干減らし、インド株・中国株・日本株のアロケーションをやや高めるという動きだ。ところが、インドはモディノミクスの鮮度が落ち始めた。中国株は、5%前後の上げ幅と下げ幅を同日に記録するなど、まさにバブルの様相だ。売りだ買いだと集団心理で同方向に動く初心者個人投資家集団を、中国政府ももてあまし気味である。海千山千の米国ヘッジファンドも、「この集団心理はランダムで読みきれない。」ので、敢えて近づかないほど。

この中国株の迷走は、相対的に日本株の安定度を際立たせる結果となっている。

更に、米利上げを視野に入れ、新興国株からのマネー流出は加速。

その一部が、日本株に流入する兆しも見える。いわゆる「ガイジン投資家」に新顔が見られることも、今回の特徴だ。

俯瞰すれば、世界を回遊する投資マネーが、ごく自然な形で、日本に向かい始めている。

日本にいると、安倍政権のかげりも目につくが、大統領選挙臨戦態勢の米国やギリシャという小国の政権安定度に揺れる欧州に比べれば、レジーム・チェンジ(体制の転換)の不安感は相対的に薄い。

ただ、日本人として気になるのは「一番出遅れているのが、日本人個人投資家の投資スタンス。」というようなコメントだ。外国人投資家売買が主体となる「ウインブルドン現象」は容易に変わらない。テニス公式競技の場所は提供するが、活躍するプレーヤーに英国人は少ないことに例えた表現だ。

裏を返せば、欧米マネーが主導権をとり、動かしやすい市場という認識でもある。これが、日本株の「魅力」のひとつとされるたびに、はがゆい思いをする。

なお、コーポレート・ガバナンス・コード導入により、「よそさんがはじめたので我が社も」社外取締役をリクルートというような事例も、海外投資家には歓迎される。「日本特有の横並び意識」が、今回ばかりは、良い方向に動いているようだ。

米利上げ時に予想される市場波乱にせよ、ギリシャ・中国リスクにせよ、日本株の頭を抑える要因とされがちである。しかし、相対的な世界経済リスク分散の視点にたてば、日本株を浮揚させる要因でもあるのだ。

ページトップ