豊島逸夫の手帖

Page1879 3週連続、「魔の月曜日」となるか

2015年7月10日


借金を踏み倒されるより、出来るだけ取り立てるほうがマシ。

だから、借金の一部棒引きには目をつぶる。但し、それなりの痛みには耐えて、せめてもの誠意を示せ。他の南欧諸国は、血のにじむ思いで緊縮に耐え、ようやく回復の道を歩み始めているのだ。更に、東欧には財政危機予備軍の国々もあるので、ギリシャには見せしめ的にも苦しむ姿をさらしてもらう。

ギリシャへの債権団は、このような考えで、徐々に、「債務減免受け入れ」に傾きつつあるように見える。

この債務減免に最も強く抵抗してきたのがドイツの納税者たちだ。

そこで、選挙民への配慮も意識するメルケル首相、財政規律を重んじるショイブレ財務相、金融節度を重視するワイドマン独連銀総裁の間で温度差も生じる。


更に、債権団の中にも温度差がある。IMF(国際通貨基金)は明確に債務減免を主張する。いっぽう、EUとECBには、感情的しこりが残る。ユンケル欧州委員長は、チプラス首相が債権団を「テロリスト」呼ばわりしたことが許せない様子。テレビに映る記者会見のときの表情を見ていると、心なしか唇が怒りで震えているようにさえ見えた。


ECBドラギ総裁は、長期的債務減免より、まずは当面の流動性供与を重視する立場にある。

今ギリシャ国内のATMから引き出されるユーロの供給源がELA(緊急流動性支援)。その生命線を握るのがECBだ。ギリシャがデフォルトするときには、最後の点滴を外す「介錯人」の立場になる。誰も、そんな役割にはなりたくなかろう。かといって、軽々にELAを増額すれば、ギリシャを甘やかす結果になりかねない。金融節度が問われよう。そこで、ドラギ総裁は、ELA増額あるいは停止の決断を政治に委ねる姿勢だ。

そうなると、最も注目されるのが、EUおよびEU参加国首脳たちの決断。

具体的に、どのような債務減免措置が考えられるのだろうか。

参考になるのは、6月26日にIMFが発表した「Preliminary Draft Debt Sustainability Analysis」と呼ばれる23ページのレポート。

そこで提示されている案は、まず、融資期限の延長だ。12ページに、例示として書かれているのが、返済期限を現行の倍になる40年に、そして、金利免除期間を現行の倍の20年にする。更に、2018年くらいまで必要な範囲で新規追加融資も実行するという案。

IMFの試算では、この案でゆくと、2040年代にはギリシャの公的債務対GDP比率が60%程度に下がることがグラフで示されている。ここで対象とされている融資は、2010年の第一次ギリシャ救済プログラムで、それぞれのEU参加国とギリシャの二国間融資として実行されたもの。実は、ギリシャ政府の債務残高約41兆円相当の中で、この二国間融資がいまだに最大の部分を占める。

この融資期限延長だけではギリシャのプライマリーバランス黒字が十分に上がらない場合は、元本の減免もやむなしとする。

あくまで「例示」とされているものの、殆ど「出世払い」に近いような気前の良い案に見えてしまう。果たして、債権団特にドイツの理解を得られるのか、疑問ではある。


そして、ギリシャ側の新提案と、いかにすりあわせるか。

最終期限の12日まで残り3日を切った。

この結果次第で、来週月曜朝の上海株そして日本株は乱高下が予想される。

もし、ギリシャ救済交渉が不調に終われば、世界的なリスクオフの波が、中国政府のなりふり構わぬ株価下支え策の効果を押し流す可能性がある。

中国政府も必死だ。時あたかも、中国経済が内需主導型への移行が始まった段階で、過渡的な失業が生じやすい。そこに株価急落が重なれば、「投資の損失は政府が救済してくれる。」と考えがちな市民の不満が高まり、政府が最も嫌う社会不安が悪化しかねない。更に、地方政府・国営企業の巨額累積債務を株式や債券にスワップすることで構造改革に乗り出したばかりゆえ、ここでの株価急落は、手術中に合併症を引き起こすようなリスクがある。


日本市場にとっても、有事の円高が株安を誘発するシナリオが無視できない。

ギリシャ→中国→日本とリスクの連鎖が起きれば、米国市場にも波及は不可避だ。

3週連続となるが、世界の市場関係者の目が、月曜朝のアジア市場に注がれることになった。


さて、こちらも土曜朝、ABC朝日放送生出演、明日で3週目。

なんか、ギリシャの話が「連ドラ」みたいになって、途中で止めると、収まりがつかない感じになってきた(笑)。


昨晩は、BSフジのプライムニュース。冒頭に緊急生出演で上海株迷走について話した。

ギリシャ、中国、米利上げ。それぞれフォローしていると、頭の中がウニみたいになってきたよ~。

ここのとこ、外食もせず、ゴルフもせず、ひたすら仕事の日々。こんなはずじゃなかった、といっても、仕事は、やるか、やらないか、二者択一だからね。やるからには、きっちり、やります。


週末もギリシャ関連で動きがありそうなので、随時、@jefftoshimaのツイッタ―でつぶやくよ。

フォロアーも1万人超えて、なお急増中だし。

それにしても、ツイッタ―のプロフィールがいまだに変わってない。

「得意分野、スキー系、鮨スイーツ系、温泉系、最近、経済とか金とかにも興味持ってます。」

だから、フォロアーにスキー場とか、寿司屋さんが増えるわけだ。。。

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