豊島逸夫の手帖

Page1888 日経・FT、逆転買収劇

2015年7月27日

「金急落の背後に中国ヘッジファンド」

一昨日土曜日日経朝刊マーケット面に、「人民元、金急落の引き金」という記事が載っていますから、読んでみて。

そして、今日の原稿。

先週木曜日本時間午後10時36分。

日経電子版は速報で「日経、FT買収」の第一報を流した。

その時点で、FT電子版トップ記事の見出しは「ドイツ社、FT買収か」。実は、その前から、外国通信社が相次いで、「FT身売り」報道を流していたので、市場は、これで独社に決まりか、と感じていたのだ。

しばらくして、FT電子版のトップ記事見出しが「日経」の名前に変わった。米国メディアも、「日経電子版速報によれば、日経がFT買収」とのニュースを伝え始めた。

かなり意外感があったようで、キャスターも俄かにコメントし難い様子。英人キャスターが、やや歪んだ顔で、「信じられない。」と呟いたのが印象的だった。「日本企業のロックフェラービル買収を思い出す。」と語るベテランキャスターもいた。

長年欧米市場で仕事をしてきた者として、彼らが「いちまつの抵抗感」を感じるであろうことは理解できる。決して、反日感情ではないが、要は「ちょっと面白くない。」程度の感情なのだ。

しかし、ピアソン社は、より収益性の高い教育事業に特化する戦略を明確にしており、その一環として、FT社売却に踏み切った。

いっぽう、日本サイドでは、日経速報直後から、SNSはアナリストなどプロたちから「快挙」「やった」などの呟きが溢れた。

とはいえ、冷静に見れば、これからが、この買収劇の見どころだ。

日経は、発行部数約300万という世界に例を見ない「一般経済紙」だ。読者層はプロからフレッシュマン、会社員配偶者まで多岐に亘る。筆者は、日本の銀行に入ったとき、出勤時には日経を読むことが常識というほどに叩き込まれた。特に横並び意識の強い日本企業社会では、日経を読まなければ、置いて行かれる、との危惧感が未だに残る。その結果、読まれる記事も、アクセスランキングを見ると、イチローから老後破産まで、さまざまなジャンルにわたる。まともな経済記事が必ず上位にくるわけでもない。

対して、FT紙のアクセスランキングを見れば、トップ10は殆ど深掘り経済記事だ。そもそも、FT読者は、プロあるいはセミプロの個人投資家など、金融知識の高い層に限定される。例えて言えば、日経ヴェリタス紙読者層に通じるものがある。購読料も決して安くはない。それでも、読者は世界中にいる。

同じ「経済紙」といっても、その実態はかなり異なるのだ。

それゆえ、補完的な関係ともいえる。

アジアに強い日経。欧米に長年構築された基盤を持つFT。しかし、FTの中国関連報道も鋭い。

そこで、FT紙の編集局は、「報道の独立性」を強く主張してくるだろう。記者会見で、日経社長は、FT紙の独立性は守る、と約束した。

記者の人事ローテーションも異なる。

日経は、現場記者の担当業種が1年程度のサイクルでコロコロ変わるジェネラリスト志向の人事方針だ。

対して、FTは、この道10年というような専門職に近い記者たちの集団だ。

それぞれ功罪はあろうが、両社が「人的資源や知見を持ち寄り」デジタル面などで、どのような成果を出せるか。一読者として興味深い。

それから、ギリシャ情勢は、ツイッタ―@jefftoshimaに色々書いているから、読んでみて。フォロアー数が1万を超えたので、最近は、手があいたときに、いろいろ書いています。フォロー数はゼロで分かるように、こちらから情報を発信するツイッタ―の使い方してる。FBは面倒くさいからやってません。

そして、今日の写真は、大好きな、にゃんこたち。高原の朝、気持ち良さそうに寝てます。





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